ダム決壊の避難場所、ロシアが砲撃か ウクライナが非難


ダム決壊の避難場所、ロシアが砲撃か ウクライナが非難

ダム決壊の避難場所、ロシアが砲撃か ウクライナが非難

ウクライナ南部ヘルソン州のロシア支配地域にあるカホフカ・ダムの決壊をめぐり、ウクライナは8日、被災者らの避難場所をロシアが攻撃していると非難した。ヘルソンではこの日、砲撃によって1人が死亡した。

ヘルソンの検察当局は、攻撃によって他に2人が負傷したと発表した。ウクライナ内務省も、ヘルソン市内のコラベルナ広場への砲撃で別の8人がけがを負ったとした。

一連の攻撃があった当時、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はヘルソンを訪問中で、洪水被害を受けた住民らと面会していた。

ヘルソン州のオレクサンドル・プロクディン知事によると、被災地域からは2000人が避難しているという。

知事はメッセージアプリ「テレグラム」に投稿したビデオ声明で、「ものすごい危険と絶え間ないロシアの砲撃」の中で「洪水の被災地から避難が続いている」と述べた。

知事はまた、同州で浸水被害があった地域の68%は、ドニプロ川東岸のロシア支配地域だと説明した。

カホフカ・ダムは6日に決壊。以来、ドニプロ川は徐々に増水し、数千人が自宅から避難している。世界食糧計画(WFP)は8日、洪水の水には下水や重油、農薬などが混じっており、「公衆衛生上の危機が生まれつつある」とBBCに話した。

ウクライナによると、洪水は約600キロ平方メートルの地域に影響が及び、数十万人が飲み水を失っている。ウクライナ軍は無人機(ドローン)を使い、水のボトルや食料を住民らに投下している。

■ロシアはウクライナが砲撃と

ヘルソン市では、通りを流れる水の水位は安定しているようだが、まだかなりの高さとなっている。一帯にはハエが大量発生し、鼻をつく臭いが充満している。

救助隊やボランティアらはボートで救出に努めているが、砲撃のたびに中断されている。

ウクライナとロシアの双方が、敵側が避難場所を攻撃していると非難し合っている。ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、ロシアがヘルソン市を砲撃して「救助隊による住民避難を妨げている」と批判した。

ロシアが任命したヘルソン州トップのウラジミール・サルド氏は、ダム決壊後に浸水した避難場所をウクライナが砲撃して2人が死亡したと、テレグラムで書いた。

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、自国の救助隊が「ウクライナからの砲撃が続く状況で作業を強いられており、隊員らの仕事が複雑なものになっている」と主張。ただ、そのことを裏付ける証拠は示さなかった。

ウクライナのゼレンスキー大統領はこの日、ヘルソンで救助隊員らと面会。国連や赤十字など国際社会の対応が遅いとの批判を繰り返した。

同時に被災地の住民に対して、「私たちはあなたを助け、復旧すべきものはすべて復旧させる」と約束し、政府として生活再建を支援していくとした。

ロシア大統領府は、ウラジーミル・プーチン大統領が被災地を訪問する予定はないとしている。

■ウクライナ軍が前進か

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は8日、南部ザポリッジャ州でウクライナ軍が前線を突破しようと激しく攻撃し、ロシア軍がこれに一晩耐えたと述べた。

ロシアの戦争支持派のブロガーがソーシャルメディアに投稿した映像では、ウクライナ軍の部隊がザポリッジャ州のロシア支配地域へと前進し、砲撃にさらされているように見える。BBCはこの映像が撮影された場所を特定した。

ウクライナ軍の隊列は、ロシア支配地域の外縁から5~10キロメートルほど内側に入ったトクマクの守備拠点に向かって進んでいたとみられる。BBCは、この進軍がいつのことか確認できていない。

一方、東部に関しては、ウクライナ軍がバフムート市周辺で前進を続けていると、同国のハンナ・マリャル国防次官が話した。

イギリス国防省は8日現在の最新情報として、「前線の複数の場所で激しい戦闘が続いている」とし、大半の地域でウクライナが「主導権を握っている」とした。

ウクライナ国家安全保障・国防会議のオレクシー・ダニロフ書記は7日、新たな攻撃に関する報道を否定。ウクライナが反転攻勢を開始すれば、「誰もが知ることになる」とした。

米高官は以前、BBCが提携する米CBSニュースに対し、ウクライナの反攻は初期段階にあるが、主な攻撃はまだ始まっていないというのが正確なところだと語っている。

(英語記事 Kyiv accuses Russia of shelling flood evacuation points)

(c) BBC News



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