【ソウル=桜井紀雄】韓国で軍事転用できる戦略物資の多数の不正輸出があったことについて、管轄する韓国産業通商資源省は10日、2015年から今年3月にかけて摘発が計156件に上ったことを明らかにし、この間の摘発について「わが国の戦略物資輸出管理制度が効果的かつ透明性をもって運用されている反証だ」とコメントした。
日本が韓国向け輸出規制強化の背景として、戦略物資の「輸出管理上の不適切な事案」を挙げ、戦略物資のフッ化水素が北朝鮮に流出した恐れが指摘されたことに、韓国政府は強く反発。「北朝鮮を含む国連制裁の対象国に流出した証拠は見つかっていない」と主張し、日本側に証拠を示すよう繰り返し要求した。
文在寅大統領も10日の企業家らとの会合で「いかなる根拠もなく、対北制裁と結び付けた発言をするのは、両国の友好と安全保障上の協力関係に決して望ましくない」と日本側を批判していた。
だが、15年に14件だった摘発件数が17、18年は40件台、今年は3月までに31件と急増傾向にある。日本側が安保上の疑心を抱くのは自然な反応で、文政権には説明責任があるはずだ。