プリゴジン氏(AP)
ロシアのプーチン政権が、反乱を起こした民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏の影響力低下を狙い、同氏が経営するメディアなどの事業に圧力を強めている。
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タス通信は、プリゴジン氏が2019年に設立し、経営するメディアグループ「パトリオット」が閉鎖する見通しだと報じた。傘下企業幹部が30日、SNSで公表したもので、露通信規制当局は五つのニュースサイトをブラックリストに指定し、アクセス制限を始めた。パトリオットは、16年の米大統領選でフェイク(偽)情報を発信して世論操作の拠点となった企業「インターネット・リサーチ・エージェンシー」(IRA)も傘下に置く。
露独立系メディア「アスタロージュナ」によると、露国防省は2006年から軍と配食事業で契約し、プリゴジン氏の事業の基盤となってきたコンコルド・グループとの契約を打ち切ったと伝えた。数千人の従業員は退職金なしで解雇される見通しという。
プーチン氏はワグネルが今年5月までの約1年間に860億ルーブル(約1400億円)の国費を得た上で、配食事業で800億ルーブル(約1300億円)を稼いでいたと指摘し、使途を調査する考えを示していた。経営陣はプリゴジン氏の反乱後、当局の捜査を見越し、書類を破棄したという。
ワグネルは1日、露西部サンクトペテルブルクの本部を移転すると発表した。本部ビルのロゴマークはすでに撤去され、別の場所で運営を続けるとした。昨年11月にオープンした本部ビルは、IT専門家や起業家が入居し、プリゴジン氏の影響力増大を示す象徴的な存在だった。