秦剛国務委員兼外相
中国外務部門のナンバー2、秦剛(しん・ごう)国務委員兼外相(57)の動静が3週間にわたり途絶えていることをめぐり、台湾メディアは「女性問題が原因」で更迭されたとの憶測が報じられている。そんな中、中国政府は「外交活動は正常に行われている」と強調するなど平静を装っている。
中国の秦剛国務委員兼外相(57)が3週間にわたり公の場に姿を現しておらず、動静が途絶えていることをめぐり、台湾紙の聯合報(電子版)などは先週末、「香港フェニックステレビの著名な女性ジャーナリストとの関係が原因」で更迭されたと報道。ツイッターなどで最近、秦氏と不倫相手とされる女性が2人で写った画像や動画が出回っていた。
秦氏は中国共産党の中央規律検査委員会から事情を聴かれているとする憶測が流れるなか、中国外務省の毛寧副報道局長は17日の記者会見で、「状況を把握していない」とし、外交への影響を問われ、「中国の外交活動は正常に行われている」と強調した。
キャリア外交官で、習近平国家主席の最側近の1人とされる秦氏は、駐米大使を短期間務めた後、昨年12月に外相に抜擢された。外交部門ではトップの王毅(おう・き)政治局員に次ぐナンバー2だ。
中国の偵察気球が今年2月に米国上空に侵入し、米軍に撃墜された問題により悪化していた米中関係は最悪の事態に陥った。秦氏は外相として米国を痛烈に批判したが、6月中旬には緊急訪中したブリンケン米国務長官と会談し、双方の対話を継続することで関係安定化を図ることに合意するなど、重要な役割を果たした。
だが、秦氏は6月25日に北京でスリランカ、ベトナム、ロシアの当局者らと会談して以来、動静が途切れた。ロシアの民間軍事会社ワグネルによる反乱の後、中国当局に状況説明のため急きょ北京入りしたルデンコ露外務次官と並んで笑顔で歩いている様子が伝えられたが、それが公の場で確認された最後となっている。
元共産党紙・学習時報の編集長で現在米国在住のアナリスト鄧聿文氏は米CNNに、「世界における中国の地位と影響力を考えると、外相が20日以上公の場に姿を現さないのは実に奇妙だ」と指摘した。