原爆投下後を連想させる風景の中、笑顔ではしゃぐ映画「バービー」のミーム。公式アカウントは英語で「思い出に残る夏になる」と返信していた=X(ツイッター)から
米映画「バービー」のX(旧ツイッター)公式アカウントによる投稿が、原爆の被害を軽視していると日本で批判が広がったことを受け、米ワーナー・ブラザースは「配慮に欠けた」として謝罪する声明を発表し、一部の投稿を削除した。78年目の「原爆の日」を控え、日米社会の認識の差を改めて浮き彫りにした問題は、米英の主要メディアでも報じられた。
【写真】批判を浴びている画像へのコメント
米メディアによると、ワーナー本社の声明は「配慮に欠けたソーシャルメディアへの投稿を遺憾に思っています。スタジオより深くおわびします」とする内容。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は1日、「核に傷ついた日本の『バーベンハイマー』への怒り」と題した記事を掲載。ネット世論の反発を受けた日本の配給元が米ワーナー本社の対応を批判したことに触れ、「ハリウッド企業の内部不和というまれな事態を引き起こした」と書いた。
米国では、7月21日に同時公開されたバービー人形の実写版「バービー」と、原爆を開発した物理学者の半生を描いた「オッペンハイマー」が記録的な興行収入を上げている。作風が対照的な二つのタイトルを組み合わせた「バーベンハイマー(Barbenheimer)」という造語と共に社会現象化し、ソーシャルメディアでは両作品のイメージを重ね合わせたミーム(ネタ画像)が広がっていた。
ニューヨーク・タイムズは、日本のユーザーを中心に、バーベンハイマーに反対する「#NoBarbenheimer」というハッシュタグが拡散されていることも紹介した。また、英BBC放送は、被爆の実相を伝え続ける努力を積み重ねなければならないとする広島市の担当者のコメントと共に一連の騒動を伝えた。
「バービー」の米公式アカウントは、主演のマーゴット・ロビーさんと「キノコ雲」を連想させるヘアスタイルを合成した第三者の投稿画像などに好意的な返信をしていた。これに対し、日本では「被害者感情を軽視している」などと批判が相次ぎ、日本の配給元はワーナー・ブラザース本社に「しかるべき対応」を求める声明を出していた。【ニューヨーク八田浩輔】