
ウイグル人の座り込み抗議(2022年11月30日)
中国当局は海外に逃れたウイグル人に対し、中国北西部・新疆ウイグル自治区に住む家族を〝人質〟にして、国外に出た人権活動家や同胞を監視するよう圧力をかけているという。難民や活動家らは中国政府による脅迫的な手口が、ウイグル族の社会を引き裂いていると訴えている。
BBCは今週、難民として新疆ウイグル自治区から英国に逃れたウイグル人のアリムさん(仮名)が、いかに中国当局から同胞への監視活動を強いられたかについて詳細に伝えた。
アリムさんによると、ウイグルを離れて6年ぶりにビデオ通話という形で祖国に残る母親と再会した。それがいつだったのかBBCは明らかにしていない。わが子と対面した母親はアリムさんに、「死ぬ前にもう一度お前の顔を見ることができるとは思っていなかった」と涙ながらに告げた。
だが、この通話は第三者によって管理されていたという。イスラム教徒である全てのウイグル人と同じように、アリムさんの母親も厳しい監視と管理の下で暮らしている。彼らは互いに直接電話をかけることはできない。
代わりに仲介者が別の場所から2台の携帯電話を使って、アリムさんと母親に電話をかけ、モニター画面を向かい合わせにして会話させたのだ。2人は不明瞭な画面に映る互いの顔を見ながら、スピーカーからのくぐもった声を聞いた。ただ、親子は会話にならず、互いに涙を流したとアリムさんは振り返った。
母親の背景に映った真っ白な壁が新疆ウイグル自治区にある家なのか、それとも中国政府が100万人以上のウイグル人を拘束しているとされる強制収容所の中なのか、アリムさんには分からない。中国はこうした国際社会からの批判を長い間否定してきた。
アリムさんは、母親との接触には代償が伴うことは分かっていたと言う。なぜなら、電話を仲介した男は中国人警官だったからだ。その後、その警官から連絡があり、アリムさんにウイグル人活動家の会合に出席し、情報を収集して当局に提供するよう指示された。