大学の増加と問題点:なぜ定員割れの大学が増えるのか?

はじめに

日本の少子化が深刻な中、大学の閉校や定員割れのニュースは珍しくありません。しかし、なぜか大学の数はどんどん増え続け、2022年度には全国で807校と過去最多になりました。そこで、大学の増加の理由や、不要な学校が淘汰されるべきかについて考えてみましょう。

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赤字でも潰れない大学の秘密

大学数の推移

長野県立大学グローバルマネジメント学部の田村秀教授によると、「進学率の上昇により、ここ10年ほど4年制と短大を合わせた学生数は変わっていません。しかし、短大は減少し、その代わりに大学の数が少し増えている」とのことです。

私立大学は一部の助成金が支えとなっていると思われがちですが、実際は収入の1割程度で、7割は学生が支払う入学金や授業料などで賄われています。しかし、約5割の大学が定員割れを起こしており、地方の中小私立大学では5割が赤字状態にあるのです。それでもなぜ大学は潰れないのでしょうか?

田村教授は「大学によっては、中学や高校、専門学校など『学校法人全体』で経営管理されていたり、自治体と連携して大学の経済効果を期待したりすることで持ちこたえている」と説明しています。

大学は情弱向けのビジネス?

起業家・投資家の成田修造氏は、大学が情弱向けにビジネス化していると警鐘を鳴らしています。

「親に対して『大学に入ることは良いことだ』と宣伝し、学生を集めて4年間の学費を得る。このようなビジネスモデルができあがりました。そして、成功事例ができたことでますます多くの人が乗っかり、必要のない私立大学も作られました。それを維持するためには、相当な額の税金が使われています。大学は単に学びたい人が選ばれる場所ではなくなってしまったのではないでしょうか」と指摘しています。

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大学の存在意義:知の遊びとは?

経営上の厳しい現状において、大学の存在意義はあるのでしょうか?

慶應大学特任教授の若新雄純氏は、「大学を過剰に供給する必要はない」としつつも、「大学はある種の贅沢です。高校までとは異なり、『生活に直結しない知の遊び』を楽しむことができます。このモラトリアムの期間に、自身を深めることは必要だと思います」と述べています。

田村教授も、「さまざまな考え方があると思いますが、遊びも含めて大学で学んだ経験は、私自身を含めて今も生きています」と同意しています。

さらに若新氏は、「親が子どもに『知的で贅沢な経験をさせたい』と思うのは自然なことです。このような贅沢は即効性はなく、じわじわと人生に影響を与えるものですが、価値があると考えています」と話しています。

【参考リンク】日本ニュース24時間

このように、大学の増加と問題点について検討しました。大学の経済的な厳しい現状にもかかわらず、大学が存在し続ける理由は様々です。また、大学での知識や経験は人生において重要な要素となり得ることも考えられます。

(記事の元情報:Yahoo!ニュース