兄の同居問題に直面した児相のジレンマ 子どもの声をどう届けるか【大津女児虐待死事件(後編)】

はじめに

大津市で発生した女児虐待死事件で、児童相談所は兄の同居を認めずに警鐘を鳴らしました。しかし、子どもたちの声をどのように届けるべきかというジレンマに直面しています。この記事では、事件の詳細を日本ニュース24時間独自の視点でお伝えします。事件の核心に迫りながら、児相の対応について考察します。

大津市内の住宅

兄妹の同居とその結果

2年前の夏、大津市に住む小学1年の女児(6歳)が、当時17歳だった兄による暴行で亡くなりました。この兄妹は、異父兄妹でありながら長い間別々の環境で育ってきました。しかし、母親の下で同居を始めた直後からネグレクト状態に追い込まれ、孤独とストレスに苦しむこととなりました。

母親の責任と第三者の手助け

この事件で起訴された母親は、別の薬物事件の容疑で逮捕され、拘置所での面会取材で「全ては私のせいだ」と述べました。母親は自らの意思で子どもを引き取ったにもかかわらず、養育を放棄したことは重い責任です。しかし、6歳の女児が亡くなるという深刻な結果に至るまで、第三者が手を差し伸べることはできなかったのでしょうか。

児童相談所の対応

大津女児虐待死事件の後、滋賀県が公表した「児童虐待事例検証部会」の報告書には、滋賀、京都、大阪の児童相談所の動きが記録されています。私たちはこの報告書を基に、各児童相談所の対応を改めて調査しました。

母親の公判

女児の死から1年と1カ月後の2022年9月2日、大津地方裁判所で母親の公判が開かれました。母親は麻薬取締法違反などの罪で起訴されています。この公判に兄も証人として出廷しました。

兄は証言台で検察官からさまざまな質問を受けましたが、「記憶にない」「覚えていない」と抑揚のない声で何度も答えました。兄と母親が顔を合わせるのは約10カ月ぶりでした。検察官は母親の無罪を崩すために兄を追い詰めましたが、兄は「お母さんは唯一の身内だから、話を合わせようとしているんじゃない?」と揺さぶりにも動じず突き放しました。

大津地方裁判所

まとめ

今回の記事では大津女児虐待死事件の後編として、兄の同居問題について取り上げました。児相が直面する子どもたちの声をどう届けるかという難しいジレンマについて考えました。今後も子どもたちの安全と幸福のために、児相の改善が求められることは間違いありません。

※この記事は「日本ニュース24時間」の独自の取材と考察に基づいています。

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