富山・滑川市、永代地上権による固定資産税の徴収が困難に

永代地上権とは?

滑川市は、全国的にもほとんど例がないとされる「永代地上権」が設定された土地が多く存在しており、固定資産税の徴収に苦慮しています。これまでは土地の所有者から徴収していましたが、「地上権者(土地の借り主)に課税するべきだ」との司法判断が4月に確定しました。しかし、永代地上権の設定はいずれも100年以上前であり、権利放棄や相続の実態が分からないケースが多く、地上権者の特定が難航しています。

滑川市の永代地上権設定地

滑川市によると、設定された土地は約600筆あり、海沿いの旧滑川町地域に集中しています。江戸時代の大火の後、契約期間を永代とした地域特有の習わしができ、明治に入って次々と登記されたと言われています。なぜそうなったのかは、郷土史料などを調べても明確ではありません。

地上権と固定資産税

地方税法では、土地の固定資産税の納税義務者を原則として所有者と規定しています。このため市は、永代地上権の設定地でも所有者への課税を続けてきました。

地裁判決による課税取り消し

ところが、東京都内の60歳代男性が、自身が所有する9筆の設定地において「正しい納税義務者は地上権者である」と主張し、市に課税の取り消しを求める訴訟を起こしました。地方税法は、「百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする」との例外規定を設けており、男性は「永代」が「百年より永い存続期間」に該当すると主張しました。この男性の請求は地裁・高裁を経て認められ、最高裁で今年4月に確定しました。

課税見直しと地上権者の特定作業

この判決を受け、滑川市税務課は約600筆の設定地で課税対象の見直しを迫られており、地上権者の特定作業に追われています。設定地には空き家や空き地もあり、地崎紀子課長は「登記簿上には約450人の地上権者が記載されていますが、権利放棄や相続の反映がないケースも多く、実態は分かりません。作業の完了時期が見通せない状況です」と話しています。

富山県滑川市

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