京アニ放火の青葉真司被告を救った医師が謝罪を望む…接見申請や手紙に反応なし

青葉真司被告の救命に尽力した医師が「法廷で謝罪を」と願う

京都アニメーション放火殺人事件で犠牲となった36人の中に青葉真司被告(45)がおり、彼は殺人罪などで起訴されました。この事件で彼は重度の火傷を負い、一時は生死の境を彷徨いました。5日から京都地裁で裁判員裁判が始まる前に、彼を治療した元主治医は「死と隣り合わせだったからこそ、命の重みを深く感じることができたと思う」と真実が明らかにされることを望んでいます。

逮捕されて移送された際の青葉真司被告(2020年5月27日、京都市伏見区で)

青葉真司被告を治療した元主治医の上田さん(8月、鳥取県米子市で)

「青葉被告を法廷に届けるのが医師の使命だった」

鳥取大学病院高度救命救急センターの上田敬博教授(51)は、青葉被告と向き合った4か月間を振り返りながらこう言います。上田さんは当時、近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)で働いていました。19年7月19日、事件の翌日に京都の病院関係者から「診てほしい患者がいる」と依頼されました。上田さんは火傷の治療のスペシャリストであり、その瞬間に青葉被告のことだと直感しました。

青葉被告の治療に挑む

京都からヘリコプターで運ばれ、集中治療室で青葉被告と対面しました。彼は全身の90%以上が重度の火傷を負っていました。上田さんは「この人の命を救うのは困難かもしれない」と考えましたが、事件当時に身に着けていたウエストポーチ周辺のごく一部の皮膚が火傷を免れていたことに気づきました。彼は残った皮膚細胞を培養し、シート状にした表皮を火傷した部分に少しずつ移植する手法を採用しました。

患者の命を預かりながら手術を行う

この事件は平成以降で最も多くの犠牲者を出した殺人事件の容疑者である青葉被告によるものです。上田さんは失敗を許すことのできない重圧と闘いながら、細心の注意を払い、合計で12回の手術を行いました。

青葉被告が意識を取り戻す

青葉被告は事件からおよそ1か月後に意識を取り戻しました。9月に入ると声を出すことができるようになりました。この時、彼は驚いた表情を浮かべ、涙を流したと言われています。上田さんは「彼が生き残りたいという思いや生き延びたことへの喜びだったのではないか」と感じました。

青葉被告への訴え

10月には青葉被告とコミュニケーションを取ることができるようになりました。警察からは事件に関する話し合いは禁止されていましたが、上田さんは「人の命を奪うことは何があっても許されない。解決方法は何もありません」と述べました。青葉被告からは応答はありませんでしたが、上田さんは彼が真剣に話を聞いているように感じました。

この記事の情報元:日本ニュース24時間