58歳の引きこもりの息子が父親を自宅で刺殺、悩み続けた父親が殺害される…母親は6月に病死

警察が適切に対応

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広島市安佐南区の住宅で、父親(85)が刺殺され、長男の無職の若尾育伸容疑者(58)が殺人容疑で逮捕された事件。警察への取材で、父の利明さんは2020年から23年にかけて、若尾容疑者の激しい言動や親子関係について、計3回警察に相談していたことがわかった。若尾容疑者は長年引きこもりとして生活していたが、父親は家庭内で荒れる息子に悩まされていたようだ。(小松大騎、中安瞳)

広島県警によると、8月19日の夜、若尾容疑者から「人を殺した」と110番があり、駆けつけた安佐南署員が平屋の自宅内で、血まみれの利明さんを発見した。同署は若尾容疑者を殺人容疑で緊急逮捕した。

捜査関係者によると、20年から23年に利明さんからの110番が2回あり、さらに1度は警察署を訪れて相談していた。110番では若尾容疑者が暴れるといった内容であり、警察署への来署では親子関係や生活態度についての相談だったという。若尾容疑者は仕事に就かず、引きこもり生活を送っており、同居していた母親は6月下旬に病死したそうだ。

警察は相談に対して、行政や病院の窓口を紹介するなど適切な対応を行っていたと述べている。

言い争いの声

若尾容疑者の自宅でのトラブルは周辺にも知られていた。「ドスンという音や言い争う声が聞こえた」との声もある。市消防局安佐南消防署によれば、今年に入って数回、救急車を呼んで搬送するケースもあったという。

80歳代の女性は1年ほど前に、利明さんと母親から「息子から暴力を受けた。パトカーを呼んでください」と頼まれ、実際に通報したという。

近所の50歳代の男性は、利明さんから「息子が家でよく暴れる。妻に暴力をふるうので困っている」と打ち明けられたことがある。母親は目が腫れ、腕に三角巾を巻いていたこともあるそうだ。「体格のいい若尾容疑者の暴力を、高齢の利明さんが止めるのは難しい。何か手助けできればよかったのに……」と男性は悔やんでいる。

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