「カントー」大麻事件で栄光の10年が突如終わる

名伯楽「仲間守りたかった」

関東学院大ラグビー部監督時代の春口広さん

対戦相手の早稲田大学を33−26で破り、関東学院大学は2007年の全国大学選手権で6度目の優勝を達成しました。この快挙に関東学院大ラグビー部の監督であった春口広さんは、選手たちと喜びました。この試合は、予想を覆す大勝利だったのです。

「笑わない男」として知られる稲垣啓太選手は世界クラスのプロップとして活躍しました。

試合終了直後、早稲田大学の五郎丸歩選手が7点差に迫るゴールキックを蹴りましたが、その直後に笛が鳴りました。関東学院大学の選手たちは喜びに包まれ、グラウンド全体が水色と紺色のジャージーで埋め尽くされました。スタンドからは「カントー」という歓声が響き渡りました。

この試合は、2007年1月13日に東京・国立競技場で行われました。関東学院大学は10年連続で全国大学選手権決勝に進み、3連覇を狙う早稲田大学と対戦しました。早稲田大学は日本代表経験者4人を擁し、強豪として知られていましたが、関東学院大学は一度もリードを許さずに勝利を収めました。

監督の春口広さんは「スターはいらない。雑草にも花が咲いた」と誇らしげに語りました。彼は関東リーグ戦3部に所属する弱小チームを率いて、10年の歳月をかけて6度目の優勝を達成しました。春口広さんは「もう10年やりたい」と意気込み、栄光が突如終わることを予想していませんでした。

寮代わりマンション一室、部員が「栽培」

ラグビー部員2人による大麻栽培

しかし、7度目の全国制覇を目指していた関東学院大学ラグビー部には暗雲が立ち込めました。

2007年11月8日、関東学院大学ラグビー部監督の春口広さんは、事務職員から驚くべき情報を聞きました。「部員が寮で大麻を栽培しているらしい」とのことでした。

大学側に対して情報提供があり、その現場は横浜市金沢区にあるマンションの一室でした。ラグビー部はこのマンションを借り上げ、寮として使っていました。

春口広さんはすぐに職員とともにその部屋に向かい、押し入れを開けました。すると、植木鉢には高さ10センチから50センチの大麻が16株植えられていました。その現場で、大麻を栽培していた2人の部員が逮捕されたのです。

関東学院大学ラグビー部は既に関東リーグ戦で11度目の優勝を目指し、全国大学選手権で7度目の優勝を狙っていました。最初は公式戦出場の辞退や監督の辞任などは考えられていませんでした。

しかし、約1か月後に警察の捜査により、他の12人の部員が大麻を吸ったことが明らかになりました。そのため、関東学院大学ラグビー部は2008年4月まで活動禁止となり、春口広さんも辞任せざるを得ませんでした。

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