政府は29日、令和2年度の国内総生産(GDP)の成長率が、物価の変動分を除いた実質で1・2%、生活実感に近いとされる名目で2・0%になるとの見通しを発表した。個人消費や設備投資など底堅い内需が支えになるほか、世界経済の回復を一定程度織り込んだ。一方、元年度については実質で0・9%、名目で1・7%とし、今年1月に閣議決定した政府経済見通しからそれぞれ0・4ポイント、0・7ポイント下方修正した。
同日の政府の経済財政諮問会議で内閣府が試算を示した。2年度の成長率見通しを出すのは初めてで、民間エコノミストの予測平均(実質0・5%、名目1・1%)を大きく上回った。内需の柱である個人消費と設備投資は、それぞれ前年度比1・0%、1・9%とし、堅調な伸びを見込む。
一方、元年度の成長率見通しは、中国経済の減速などに伴う輸出や外需の弱さを反映して引き下げた。実質成長率への寄与度も、内需がプラス1・2%と堅調さを見込んだのに対し、外需はマイナス0・3%と下押し要因になるとした。
諮問会議に出席した安倍晋三首相は「リスクが顕在化する場合には、機動的なマクロ経済政策を躊躇(ちゅうちょ)なく実行していく」と述べた。