引き締まる瞬間
将棋界の最年少7冠、藤井聡太竜王（名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖＝21）が全8冠制覇を目指す中、第71期王座戦の5番勝負第3局が27日、名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われました。対戦相手は永瀬拓矢王座（31）です。この対局において、藤井竜王は史上初の全8冠制覇に1勝の差まで迫りました。
勝負の駆け引き
先手の藤井竜王は、2勝1敗となる勝ちシリーズ対戦成績を収め、まさに勝負に勝った形です。永瀬王座を追い詰められる場面もありましたが、藤井竜王は「将棋に負けて、勝負に勝った」状態となりました。このような対局で勝利を収めることは、心理的にも大きな意味を持ちます。藤井竜王の全8冠制覇の確率は、この勝利によって一気に高まったと言えるでしょう。
計算された一手の力
永瀬王座の66手目の後手4一飛が最後の敗着となりました。この場面では、後手3一歩が正解でした。これは将棋の防御の基礎です。また、その前に後手6六飛と角を取り、飛車を切る手が誤りでした。永瀬王座は慌てたのでしょう。香を成り捨てて金を取り、後手3五歩先手同飛とつり上げ、次に銀を成り捨てて、5六に金を打つスペースを作る味付けから寄せるべきでした。
私自身が42歳で名人を獲得した時、聖書の言葉「慌てないで、落ち着いて戦え」と何度も思い返しながら対局に臨みました。このような普遍的な心得が必要です。（加藤一二三・九段）
ソースリンク： 日本ニュース24時間
