総務省は2日、ふるさと納税による平成30年度の寄付総額が前年度比1・4倍の5127億円となり、6年連続で過去最高を更新したと発表した。市町村別では大阪府泉佐野市(498億円)を筆頭に6月施行の新制度から除外された4市町が上位を独占し、合計額は全体の2割を超える約1100億円に上った。寄付件数は前年度の1・3倍の2322万件だった。
新制度では返礼品が「寄付額の3割以下の地場産品」に限られ、開始前に高額の返礼を目当てにした駆け込みが金額と件数の双方を押し上げたとみられる。
石田真敏総務相は2日午前の記者会見で「お世話になった自治体に恩返ししたいという(寄付者の)気持ちに対応することが、本来の制度の趣旨だ。今後も一定のルールの下で健全に発展してほしい」と述べた。
市町村別の寄付額は前年度比3・7倍の泉佐野市のほか、静岡県小山町(251億円)、和歌山県高野町(196億円)、佐賀県みやき町(168億円)が100億円を超え突出した。
都道府県単位では、泉佐野市がある大阪(656億円)が最も多い。2位は北海道(504億円)で、海産物など魅力的な返礼品を用意できる自治体が多いことが影響した。3位は佐賀(424億円)だった。
寄付額に占める返礼品の調達費は全国平均で35・4%で、前年度から3・1ポイント低下した。高額の返礼品を見直した自治体が多かった。調達費に送料などを加えた総経費は0・5ポイント減の55・0%で、残りの45・0%が地域活性化の財源になった。
一方、平成30年中の寄付により令和元年度の住民税が軽減されるのは395万人で、減税額は前年度比1・3倍の3265億円。寄付者が住む自治体は税収が減る。
減収額が最も多いのは横浜市の137億円。名古屋市(81億円)▽大阪市(74億円)▽川崎市(56億円)▽東京都世田谷区(53億円)と続き、都市部の財源流出が際立っている。