【ひふみんEYE】藤井聡太8冠が「第3の戦術」で敗勢を覆す!永瀬王座の「5三馬」の局面は…

藤井聡太

将棋界に衝撃を与える若き天才、藤井聡太竜王

将棋界の最年少7冠、藤井聡太竜王(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖=21)が、全8冠制覇を目指し、永瀬拓矢王座(31)に挑戦している。そして、第71期王座戦5番勝負第4局が11日、京都市の「ウェスティン都ホテル京都」で行われ、藤井聡太が後手ながらも勝利を収めたのだ。この勝利により、藤井聡太はシリーズ対戦成績を3勝1敗とし、王座を奪取し、史上初の全8冠制覇を達成したのだ。

藤井聡太の勝利の背景には、彼の「第3の戦術」があった。明らかに敗勢だった局面から勝負形に持ち込む指し回しは、タイトル戦という大舞台の中で培われたものであり、「局面を複雑にして粘り強く闘い、勝利を手にする」という戦術の成果だったのだ。藤井聡太はデビュー当初から得意だった「一直線の攻め合い」と、対局を重ねるうちに感覚的に体得した「渋い受け」との組み合わせが、彼の将棋の大きな柱となっていることが、この8冠全制覇の対局で明らかになったのだ。

永瀬拓矢王座の戦術と「5三馬」の局面

永瀬拓矢王座の角換わりから急戦を仕掛けるという作戦は、非常に優れていた。彼は研究を重ね、練り上げた戦術を用いたのだろう。しかし、先手の5三馬の局面において、先手4二金で必勝だった。駒台には十分な持ち駒もあり、もっと注意深く指してほしかったのではないかと思う。この局面は奨励会初段でも十分に対処できるはずだったのだ。

藤井聡太の8冠は研究と戦術の積み重ね

藤井聡太が名実ともに頂点に立った8冠だが、それは彼の将棋に対する研究量と戦術の積み重ねによるものだろう。タイトル戦での勝利は今後も相次いで続くだろうと私は考えている。

近年の竜王戦での広瀬章人八段や、今年の王将戦での羽生善治九段など、タイトル戦において新たな研究手筋を持つ棋士たちが現れてきた。若手棋士も台頭してきている。誰にでもチャンスが訪れるのだ。私自身、35歳で本気になり、42歳で名人になったのだから。

もし藤井聡太の8冠を倒す棋士が現れれば、その人こそがヒーローとなるだろう。また、棋士全体の研さんを重ねることで、将棋はますます面白くなると私は思っている。藤井聡太の8冠は、まさにその象徴なのだ。

(記事引用元:日本ニュース24時間