「政治家の引き際」を考える:若さと経験のバランス

菅直人元総理と細田前衆院議長

政治家にとって、いつ引退するかは重要な決断です。若い世代に引き継がれるべきか、長い経験と知識を持つ政治家が必要なのか、引退時期の考え方は人それぞれです。今回は、77歳の菅直人元総理と79歳の細田前衆院議長の決断に注目し、政治家の引き際について考えてみましょう。

既定路線での引退宣言

菅直人元総理は、10月21日に行われた臨時国会召集の翌日、次の衆院選に立候補しない意向をSNSで表明しました。彼は、「次期衆院選で東京18区から立候補しない意向は、前回選挙で『集大成』と訴え、地元の会合でも申し上げてきたので、従来から変わっていません。『市民政治』『戦うリベラル』の旗を、若い世代にしっかり引き継ぎたいと思います」と語っています。菅氏は若い世代へのバトンタッチを望んでおり、次期衆院選への不出馬は”既定路線”だったのです。

菅氏自身も、半年ほど前に私との会話で「俺は今期限りだとうちの嫁さんが言っているから(次は出ない)」と明言していたそうです。しかし、不出馬宣言のタイミングは唐突で、解散の風も吹いていない状況での決断でした。では、なぜ今なのでしょうか?菅氏に直接聞いてみました。

引退の真意

菅直人元総理の事務所で、彼の政治活動の歩みが写真パネルとして展示されています。菅内閣の閣僚たちを見ていると、半数以上が既に引退または他界していることに気づきました。そこで、菅氏にいつ引退することを決めたのか尋ねると、「我が家には菅伸子という人がいてね、前回の選挙の時ぐらいから『もうこの辺りでいいんじゃないの』というのがなんとなく決まってた」と菅氏は苦笑いしながら答えました。「私自身、総理大臣もやらせてもらったし色々な課題もやってきたんで、体力的な事も含めて潮時かなと。うちの嫁さんは妻であると同時に選挙を一緒に戦ってきてくれた最大のパートナーだから、その意向とマッチしたということですよね」と述べました。

菅氏は地元での選挙活動の多くを妻の伸子さんに任せてきたそうです。そのため、伸子さんの意向は絶対的なものだと言えるでしょう。「私だけのことであればギリギリでもいいかもしれないけども、その次の候補者のことまで考えて段取りするとなると、このあたりのタイミングかと思ったんでね」と菅氏は説明してくれました。

病気での引退

一方、自民党の細田氏は、「任期途中だが、衆議院議長の職を退任したい」と病気を理由に辞任を表明しました。菅氏と同様、細田氏も引退について慎重に考えた末の決断です。苦しい決断だったことは間違いありませんが、「これで引退なんてできない」との強い思いがあったのでしょう。

政治家の引き際は、人生の中でも重要な局面です。若い世代には新しい価値観や考え方が求められますが、経験と知識を持つ政治家も欠かせません。若さと経験のバランスが重要であり、各々のタイミングで引退を迎えることが望ましいのかもしれません。

今回の菅直人元総理と細田前衆院議長の引退宣言によって、政治家の引き際の考え方について改めて考えさせられました。若い世代と経験ある政治家の連携が、より良い政治を築くために必要だと感じます。

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