イスラエルのやり方はテロリストを増やすだけ、ハマスと住民の分離に繋がっていない

イスラエルの戦略はハマスとパレスチナ人の切り離しに失敗し、殺害した数より多くのテロリストを生み出している可能性が高いと、安全保障やテロリズムが専門のロバート・ペイプ氏が警告しています。では、なぜイスラエルの戦略は失敗しているのでしょうか。

イスラエルの軍事作戦の限界

テロ組織を国民から分離するという原則はシンプルですが、実際には非常に困難です。イスラエルと米国は大規模な軍事作戦で短期的にテロリストを多く排除することに成功しましたが、数ヶ月以内に殺害した数を上回るテロリストの台頭を招いただけでした。

例えば、イスラエルがパレスチナ解放人民戦線のテロリストを叩き潰すために行ったレバノンへの侵攻は、一時的には成功しましたが、結果的にはヒズボラの台頭を招きました。同様に、イスラエルがガザ地区とヨルダン川西岸を占領し、ハマスなどのテロリストを殺害することに成功しましたが、結局はハマスとの紛争が続き、ハマスの支持を集める結果となりました。

政治的解決策の重要性

ロバート・ペイプ氏は、イスラエルがテロ組織を倒すためには短期的な軍事作戦ではなく、長期戦略と政治的解決策の組み合わせが重要だと主張しています。この政治的解決策には、「現実的な政治的選択」をパレスチナ人に用意する必要があります。

現在、イスラエルはハマスに対して軍事的なダメージを与えるだけで、ハマスと住民の一体化が加速する結果となっています。イスラエルはハマス排除後の政治的計画を持っておらず、ハマスの代わりにガザ地区を統治するつもりもありません。これでは現地住民がハマスを見捨てる理由がないのです。

パレスチナ国家建設への向けた政治プロセスの重要性

ロバート・ペイプ氏は、ハマスと住民の分離を実現するためには、「パレスチナ国家建設」に向けた政治プロセスを開始し、パレスチナ人に「現実的な政治的選択」を用意する必要があると主張しています。これにより、ハマスと住民の分離が成功する可能性があります。また、ガザ地区を統治するのはパレスチナ人自身であるべきだとも指摘しています。

以上がロバート・ペイプ氏の主張の要約です。彼は「テロ組織を軍事作戦のみで根絶させるのは不可能」「ハマスに代わる政治的選択肢を用意できなければテロリストが増えるだけ」「短期的な軍事作戦のみだとイスラエルは悲劇のパターンにハマる」と訴えています。彼の主張が正しい場合、ハマスは一時的な損害を被っても勢いを取り戻し、さらに強化されてしまう可能性があります。

もしもイスラエルがハマスと住民の分離を実現するための政治的解決策を講じなければ、テロリストの増殖は止まらないでしょう。イスラエルがハマスに勝利し、イスラエル人の安全を確保し、この地域における米国の利益を高めるためにも、パレスチナ国家建設への政治的な出口を探る必要があります。

※画像の出典:Michael Zarfati/CC BY-SA 3.0

※この記事は日本ニュース24時間の記事を元に作成されています。