【正論9月号】激動の国際情勢 日米安保の改定で「適者生存」目指せ 国家基本問題研究所主任研究員 湯浅博

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日米防衛相会談で握手するエスパー米国防長官(左)と岩屋防衛相=7日、防衛省
日米防衛相会談で握手するエスパー米国防長官(左)と岩屋防衛相=7日、防衛省

※この記事は、月刊「正論9月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

■世界秩序に背を向ける超大国

 日米関係の戦略的根拠が、いつかは崩壊することもあることを覚悟すべき時代がやってきた。日米同盟の効用は、それが東アジアの平和と安定を維持する国際公共財として役割を果たしてきたことにある。だが、当のアメリカが国力の衰退におびえ、同盟国に距離を置き、敵対国をつけあがらせている。トランプ米大統領が「アメリカ第一主義」に走って、日本やヨーロッパに同盟のコストを転嫁することで、中国が覇権国アメリカの弱さを嗅ぎ取っているのだ。

 他方の日本も、安倍晋三首相が唱えた「戦後レジームからの脱却」はすっかり色あせ、自民党総裁が憲法改正の笛を吹けども党ぐるみで踊らない。野党の無責任はさらに深刻で、立憲民主党は「日米安保条約の堅持」を言いながら、「集団的自衛権の一部行使容認は憲法違反」と矛盾したことを平然という。アメリカがもはや自由主義世界秩序の守護神の地位に背を向けているとの危機意識すら持ちえないからだ。

 まして、アジアの中核をなす日米安全保障条約を、アメリカの政治指導者が軽視するようなことがあれば、東アジアの安定を損ない、大陸の全体主義国家に対する抑止力を破壊する。トランプ氏のように最高司令官であるアメリカ大統領が「日米安保破棄」を口にするようでは、同盟体制がほころんで弛緩していく危険性がある。

 それはトランプ大統領が抱く「アメリカ第一主義」の国家観だと思われがちだが、「トランプ後」であってもこの流れは変わらないとの見方が多くなってきた。ジョンズ・ホプキンズ大学のエリオット・コーエン教授は外交誌『フォーリン・アフェアーズ』(FA)2019年4月号で、「トランプのアメリカ・ファーストは、外交の初心者が犯した間違いではなく、アメリカのリーダーたちが戦後外交の主流概念から距離を置きつつあるという重要な潮流の変化を映し出している」と警告している。

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