医療停止のガザ「本当に惨めだ」 帰国の日赤看護師、支援訴える

ある日本赤十字社の看護師が帰国し、ガザ地区での医療支援活動について痛切な思いを語りました。この看護師はイスラエル軍による攻撃下での医療状況について、現地のスタッフが「本当にミゼラブル(惨め)だ」と嘆いている様子を涙ながらに紹介しました。現地の状況を知らせ、国際社会による支援の必要性を訴えたのです。

川瀬佐知子看護師の訴え

川瀬さんは大阪赤十字病院に勤務し、バングラデシュやハイチなど海外での医療経験も豊富です。日本赤十字社の一環として、ガザ北部の中核医療機関である「アルクッズ病院」に派遣され、看護手順の指導や技術支援を行っていました。

10月7日の武力衝突以降、病院は多くの負傷者を受け入れる一方、多くの市民が避難場所として訪れました。救急外来の同僚医師は自身の子供2人も負傷者の中にいたと言います。1人は亡くなり、もう1人は重体です。当時の思いを川瀬さんは語ります。「こんなにつらいことがあるだろうか」と。

ガザ北部への攻撃の危険性が高まったため、川瀬さんは南部ラファに移動しました。そこでは避難民の健康管理に携わりましたが、負傷者が増える中で現場に行けないことに葛藤しました。

11月12日、アルクッズ病院は発電用燃料が尽き、医療機能が停止しました。2日後には患者とスタッフが南部へ退避したのです。川瀬さんによると、イスラム組織ハマスの軍事施設が病院内にあるのかどうかについては、医療チームは全く考えることができなかったそうです。

11月1日、川瀬さんはエジプトへの越境を果たし、5日に緊急帰国しました。川瀬さんは現地スタッフから、「命の重さはみんな同じなのに、この世界はフェアにはできていない。自分たちに人権なんてない。私たちは本当にミゼラブルだ」と訴えられ、その思いを伝えたいと力強く語りました。

日本赤十字社は、川瀬さんの経験を通じて国民に現地の状況を伝える重要性を強調しています。このような歴史的悲劇を傍観するのではなく、一人一人が関心を持ち、支援の手を差し伸べることが求められているのです。

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