ゴジラ-1.0の舞台となったのは、1954年に初登場してから70年目、30作目となる作品です。この作品は、敗戦間際と敗戦後の日本を描いています。明治以来の戦争で拡大してきた植民地をすべて失い、北方領土まで奪われ、一等国の地位から敗戦国になり、多くの軍人が戦犯とされ処刑されました。「新生日本」はマイナスからの出発となりました。
「十死零生」の邪道作戦 特攻
主役の敷島浩一少尉は、零戦に乗った航空特攻隊員です。特攻は、搭乗員が爆弾を抱いた航空機で敵艦に体当たりする作戦です。成功すれば搭乗員はほぼ100%戦死します。兵士にとっては邪道中の邪道です。特攻を続ければ戦力が枯渇し、兵士の士気も下がるでしょう。
この特攻作戦は、1944年10月のフィリピン戦線で海軍が始めました。5機の零戦が爆弾を装着し、米艦船を攻撃。護衛空母「セント・ロー」を撃沈しました。航空機による攻撃が困難になっていた中、わずか5機が大戦果を挙げました。この「十死零生」の作戦は、敗戦まで続くことになりました。
米軍は最初はこの作戦を想定していませんでしたが、日本側の意図を知ると対策を立てました。レーダーや迎撃用の艦船や航空機を配置し、特攻による戦果は低下しました。熟練のパイロットが不足していたことや、航空機の不足も影響しました。
ゴジラ-1.0の物語は、戦後の日本で活躍した兵器を通じて、教訓を伝えています。