アウディーイウカの戦い、コークス工場が砲撃にさらされ、南の守りも破られる

ウクライナ軍の参謀本部は、アウディーイウカ方面において「敵の攻撃は全て失敗に終わった」と主張していますが、新たに登場した視覚的証拠は「ロシア軍の前進」と「状況の悪化」を示唆しており、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも「南側の工場地帯を失うのは時間の問題だ」と報告しています。

ウクライナ軍がアウディーイウカの南側の工場地帯を失うのは時間の問題か

ウクライナ軍の参謀本部はアウディーイウカ方面において「敵の攻撃は全て失敗に終わった」と主張していますが、新たに登場した視覚的証拠は「ステポヴェと線路の間=Ⓐで交戦が続いている」「ステポヴェとコークス工場の間=Ⓑでロシア軍が足場を築いている」「コークス工場と線路の間=Ⓒにロシア軍が侵入している」「コークス工場=Ⓓがロシア軍の砲撃にさらされている」「アウディーイウカの南側の工場地帯=ⒺⒻをロシア軍がほぼ突破している」と示唆しています。残念ながら、ロシア人の主張通りに状況が推移しているのです。

アウディーイウカ周辺の戦況
出典:GoogleMap アウディーイウカ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ウクライナ軍はステポヴェとコークス工場のラインを維持していますが、当該地域の戦闘は線路の西側で発生しているため、「ロシア軍は自由に線路を横断可能な状況」と考えられます。また、コークス工場もロシア軍の砲撃にさらされており、建物に取り囲まれるのは時間の問題かもしれません。

さらに問題なのは一度も突破されてこなかった「南の状況」です。ウクライナ人が運営するDEEP STATEによれば、敵は戦車や装甲車両、歩兵を投入して工場地帯の守りを突破し、工場地帯の西外れまで到達しています。残念ながら陣地は大きく損傷しており、反撃は可能かもしれませんが工場地帯を失うのは時間の問題だと言われています。同様に、ロシア人のミルブロガーが運営するRYBARも「アウディーイウカの南でロシア軍の前進が確認された。2014年以降占領状態にあった工場地域に足場を築くことに成功し、ロシア軍は周囲に支配地域を広げている最中だ」と報告しています。

アウディーイウカ南の戦況
出典:GoogleMap アウディーイウカ南の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

他にも、「ベゼルとアウディーイウカの間に広がるダーチャの一部をロシア軍が占領した」「アウディーイウカ南の突破口(南の工場地帯から見て西の地点)から前進した」という報告があります。街を守るウクライナ軍は北側だけでなく、南側でも問題を抱えていることが確実です。

もし森林地帯がアウディーイウカ郊外への接近を阻む要害であるとするならば、「短期間で抜かれることはない」と思いますが、ここを突破されると、バフムート以来の本格的な市街戦が始まるでしょう。

ホルリウカ周辺の戦況
出典:GoogleMap ホルリウカ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ちなみに、ロシア人たちも「ウクライナ軍によるホルリウカ郊外のテリコン襲撃」について疑問を抱いています。あるロシア人は「監視されているのにウクライナ人たちは隊列を組んでテリコンに登ってきた」「このウクライナ人たちは砲撃で吹っ飛ばされただけだった」と報告しており、その事実は不明ですが、「既にテリコンの山頂はロシア軍の管理下だが無人なのでグレーゾーンに移行した」と主張しています。

DEEP STATEもホルリウカ郊外のテリコンについては「詳細な状況については追加の情報が必要だ」と述べているため、恐らく状況を把握できていないのだろうと思われます。

アウディーイウカの危機は第2防衛ラインの欠如が原因であるとウクライナメディアも報じています。ロシア軍がコークス工場への直接攻撃を開始し、ステポヴェ集落の北側地域を占領しているとの報告もあります。ウクライナ大統領のゼレンスキー氏は、「アウディーイウカでロシア軍を破壊すれば流れが変わる」と述べています。

※アイキャッチ画像の出典:АРХАНГЕЛ スペツナズア Z🇷🇺

記事のソースリンク:https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/in-the-battle-of-audi-iuka-the-coke-factory-is-bombarded-and-the-southern-defenses-are-defeated/