皇統は126代にわたり例外なく男系で維持されてきた。女性天皇は過去に10代8人存在したが、いずれも男親をたどれば初代の神武天皇に行き着く男系だ。この皇位継承が危機にひんするたびに、時の為政者は遠縁でも男系の継承者を探し出すなどしてきた。
■断絶危機に備えた先人
皇統断絶の危機は何度か訪れたが、解消に尽力した先人たちがいた。例えば大伴金村(おおともの・かなむら)と新井白石だ。
5世紀末から6世紀半ばの豪族だった大伴は現在の福井県から応神天皇の5世孫を招き、第26代継体天皇として即位させた。江戸時代中期の儒学者だった新井は皇統断絶に備えて閑院宮家の創設を進言した。この宮家からは現在の皇室の方々と関係が深い第119代光格天皇が即位しており、新井の備えが功を奏した。
男系継承に対しては「女性差別だ」との意見もあるが、京都産業大の所功名誉教授(日本法制文化史)は「皇室の祖先神と信じ仰がれるのは女神の天照大神であり、母性・女性の尊重こそ日本の伝統だ」と否定する。
■広まる「誤解」
とはいえ、前例のない女系天皇を容認する声は少なくない。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の5月の合同世論調査では女系天皇への賛成が64・2%に上った。
皇室に詳しい麗澤大の八木秀次教授は「皇位継承の原理原則を知らず、女王がいる英王室などと同一視しているのだろう」と解説する。