【北京=天野健作】訪中している小池百合子知事は27日、北京大や清華大など有名大学があり、ハイテク企業が2万社以上集まる北京の中関村を訪れた。「中国のシリコンバレー」とも呼ばれる先進的な地区を視察することで、知事が訴える「稼ぐ東京」を目指し、創業支援やベンチャー育成などを強化する。
中関村は当初、秋葉原のような電気街だったものの、政府が約30年前にハイテク産業への優遇措置を開始。いまや中国全土の創業投資の3分の1程度を占め、昨年3月には北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長も視察したとされる。
小池知事はまず、展示センターで、顔認証技術や自動運転車などを視察。外科手術ロボットのコーナーでは、手術時間を短縮でき、患者の出血が少ない利点があるとの説明を聞いた。すでに35の病院で6千以上の術例があるという。
続いて、企業が集積している地区では、中国の担当者から「日本には“岩盤規制”があるため、企業がここに進出し、中国企業と提携して技術を成熟させている」との説明があった。知事は視察後、「廃業よりも起業が上回らないと成長につながらない。中関村の試みや実績を参考に都の元気につながるように努め、ものづくりを後押ししていく」と述べた。
これに先立つ同日午前、小池知事は中国国家税務総局(国税庁に相当)の于春生副局長らと面会。徴税の分野で、情報通信技術(ICT)の活用が進んでいることから、互いに知見を共有し、職員の交流を図ることで一致した。