首相「持続的発展が肝要」 過剰融資続ける中国牽制 アフリカ開発会議閉幕


 「横浜宣言」を採択し、第7回「アフリカ開発会議」の閉幕を告げる安倍首相(中央)=30日午後、横浜市

 政府が国連などと横浜市で開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD)は30日、海洋進出を強める中国を念頭に、法の支配を重視する「自由で開かれたインド太平洋」構想を盛り込んだ横浜宣言を採択して閉幕した。安倍晋三首相は共同記者会見で、アフリカ諸国が中国の過剰融資により多額の借金を抱える「債務問題」をめぐり「支援対象国が持続的に発展できることが肝要だ」と中国を牽制(けんせい)した。

 首相は「日本らしさを生かし、着実な経済成長や平和と安定の実現を目指すアフリカ自身の努力を強く支援する」とも述べ、資金力で影響力拡大を図る中国との違いを強調した。

 日本は今回、今後3年間で日本から200億ドル(約2兆1千億円)を超える民間投資が実施されるよう支援する方針を打ち出した。首相は「世界中から官民の力を結集することで、アフリカが持つ無限の可能性を開花させることができる」とも訴えた。

 アフリカでは経済成長に水産資源を生かす「ブルーエコノミー」が注目を集め、海賊や違法操業への対策が急務となっている。日本が提唱してきた「自由で開かれたインド太平洋」構想を宣言に盛り込むのは初めてで、海洋安全保障分野での協力促進も明記した。

 3日間の討議では、日本企業のアフリカへの進出や投資の促進もテーマとなった。宣言では「貿易と投資は成長、雇用創出、持続可能な開発の重要なエンジン」とし、開かれた市場の維持や公平な競争条件の確保に取り組むことを表明した。

 国際的な課題となっている海洋プラスチックごみや廃棄物管理については「差し迫った環境問題に対処する必要性を強調する」と言及した。次回は2022年にアフリカで開催される。



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