公明党は5日の常任役員会で、安倍晋三首相が11日に行う内閣改造人事への対応を山口那津男代表に一任することを決めた。同党の現職閣僚である石井啓一国土交通相の去就が焦点で、山口氏は近く首相と会談し、党の要望を伝達する。
石井氏は平成27年10月の第3次安倍改造内閣で、公明党代表を務めた太田昭宏氏の後任として入閣した。旧建設省出身で安定した仕事ぶりが評価され、在職期間は歴代国交相で最長の3年11カ月に及ぶ。公明党の閣僚としても過去最長を更新している。
首相が「安定と挑戦の強力な布陣」を掲げていることを踏まえ、石井氏が留任するとの見方もある一方、党内では「長すぎる」との声が強く、後任候補に石田祝稔(のりとし)政調会長(68)=衆院比例四国=らの名前が浮上している。
交代論には、石井氏入閣後の国政選挙の結果も微妙に絡む。公明党の比例代表得票数は28年参院選で757万票だったが、29年衆院選は697万票に落ち込み、今年7月の参院選では653万票とさらに減った。支持母体の創価学会の幹部は「参院で過去最多の28議席を得ながら、それに見合う票数が出ていない」と話す。
党勢拡大は「根源的な課題」(党幹部)で、6日の党会合で次期衆院選を見据えた活動方針を打ち出す。今回の内閣改造で石井氏交代となれば、次期代表候補として「党の顔」に育てる狙いもあるとみられる。
一方、国交相ポストは24年12月の第2次安倍内閣発足後、公明党の「指定席」となっているが、自民党のベテラン議員は「権力の源泉たる各種団体の陳情が省庁の中で最も多く、誰もがやりたい役職の一つだ。何とかして手に入れたい」と語る。
これに対し、公明党も「建設や運輸のほか観光、災害対策など幅広い分野に関わる国交行政こそ、わが党のネットワークを生かせる」と手放す気配はない。(清宮真一)