被爆者多数の陜川、追悼施設の空白を埋める
「韓国のヒロシマ」と呼ばれる慶尚南道陜川(キョンサンナムド・ハプチョン)。多くの韓国人原爆被害者を出したこの地に、原爆被害追悼施設の設置計画が進んでいます。
陜川郡によると、10月15日に陜川郡庁で原爆被害者追悼施設の建築企画報告会が開催されました。郡や保健福祉部、国内原爆被害者団体などが参加し、今後の建設について議論しました。
追悼館や広場を建設、既存施設との連携も
計画によると、追悼施設は陜川邑盈倉里(ヨンチャンリ)一帯に建設されます。総事業費は約6億5000万円で、約600平方メートルの追悼館、追悼碑、追悼広場を建設する予定です。
また、1996年に建設された原爆被害者福祉会館(定員110人)や、2017年に開館した原爆資料館(敷地面積1600平方メートル)との連携も図り、複合的な空間とする計画も出ています。
陜川原爆資料館内部の様子
韓国人被爆者5万人、世代を超えた苦しみ
1945年8月6日と9日に広島と長崎に投下された原子爆弾。韓国人犠牲者は広島で約1万5000人、長崎で約3万5000人と推定され、全体のおよそ20%を占めています。その多くが陜川出身者でした。
日帝強占期、多くの陜川出身者が広島などに強制連行されたためです。しかし、韓国には原爆犠牲者を追悼する施設が十分にありません。
被爆者団体「平和公園のように、犠牲者を慰める施設を」
韓国原爆被害者協会陜川支部のシム・ジンテ支部長は、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協を引き合いに出し、「日本には原爆犠牲者を追悼できる平和公園が既にある」と指摘。「韓国にも多くの原爆犠牲者がいるが、まだ彼らを慰めるきちんとした追悼碑さえない」と話しています。
また、原爆の後遺症に苦しむのは被爆者本人だけではありません。子供や孫の世代にも遺伝的な病気が現れるなど、被害は世代を超えて続いています。
2026年末の完成を目指す
陜川郡は、2024年末までに設計公募を行い、具体的な計画を確定する予定です。その後、2025年に着工し、2026年末の完成を目指しています。
陜川郡の関係者は、「一日も早く追悼施設が着工・完工できるように、郡と道が協力して取り組んでいく」と話しています。