イスラエルとハマスの対立が激化する中、イスラエル軍は17日、ガザ地区でハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏を殺害したと発表しました。昨年10月のイスラエル襲撃を指揮した後に姿を消していたシンワル氏ですが、一体どのように発見され、殺害に至ったのでしょうか。そして、この事件は今後の両者の関係にどのような影響を与えるのでしょうか。
イスラエル軍による偶然の遭遇と特定までの流れ
イスラエル軍の発表によると、シンワル氏の殺害は、南部ラファでの通常パトロール中に起こりました。
16日、イスラエル軍部隊はタル・アル・スルタン地区をパトロール中、3人の戦闘員を発見し交戦の末に全員を殺害しました。
翌17日朝、兵士らが現場に戻り死体を調べたところ、そのうちの1体がシンワル氏に似ていることに気づきました。爆弾の可能性を考慮し、指の一部を切除して鑑定のためイスラエルに送りました。
その後、死体はイスラエルに運ばれ、シンワル氏であることが確認されました。
イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は、「(同軍は)彼がそこにいると知らずに、活動を続けていた」と説明しています。
シンワル氏の最期とイスラエル側の反応
部隊は、家から家へと走る3人の男たちを発見し、交戦しました。後にシンワル氏と確認された人物は、「1人で建物の一つに駆け込んだ」とされ、ドローンによって居場所を特定され殺害されました。
シンワル氏は人質を「人間の盾」として使っていると考えられていましたが、発見時には人質はおらず、護衛も少人数でした。
イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は、「シンワルは敗者として、追い詰められ、逃亡しながら死んだ。指揮官として死んだのではなく、自分のことしか考えていない人間として死んだ。このことは私たちに対立する、すべての敵への、明確なメッセージだ」と述べています。
イスラエル軍は、殺害される直前のシンワル氏の姿を捉えたドローン映像を公開しました。
イスラエル軍が公開した、殺害される直前のシンワル氏とされる人物の映像
イスラエルによる発表とシンワル氏追跡の真相
イスラエルは当初、シンワル氏がガザで殺害された「可能性を調査している」と発表しました。
その後、ソーシャルメディアにシンワル氏とみられる男性の遺体写真が出回りますが、イスラエル当局は「現段階では」身元を確認できないとしました。
しかし、イスラエルの情報筋は、政府首脳陣がシンワル氏殺害の「確信を深めている」とBBCに語っています。
その後、イスラエルは検証が完了し、シンワル氏の「排除」を確認したと発表しました。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「邪悪」が「大打撃を受けた」と述べ、ガザにおけるイスラエルの戦争はまだ終わっていないと警告しました。
イスラエル軍は、シンワル氏殺害は計画的なものではなかったものの、数週間前からシンワル氏の居場所情報に基づきガザ南部で作戦を展開していたと説明しています。
シンワル氏殺害の意義と今後の展望
シンワル氏の殺害は、イスラエルにとって大きな成果です。
しかし、ネタニヤフ首相は「借りを返した」と述べながらも、戦争は続くと強調し、少なくともハマスに拘束されている101人全員が救出されるまで継続するとしています。
一方、人質の家族は、人質の帰還につながる停戦の成立を望んでいます。
シンワル氏の死は、イスラエルとハマスの対立に大きな影響を与えることは間違いありません。
今後、ハマスがどのように報復するか、そしてイスラエルがどのように対応するのか、予断を許さない状況が続きます。
まとめ: ハマス指導者殺害、今後のイスラエルとパレスチナの関係は?
今回のシンワル氏殺害は、イスラエルとハマスの対立をさらに激化させる可能性があります。
イスラエルは人質救出まで作戦を継続する構えを見せていますが、ハマスの反撃も予想され、予断を許さない状況が続きます。
今後の両者の動向に、世界からの注目が集まっています。