宇宙の神秘を解き明かす:数学は宇宙共通言語なのか?

はじめに

夜空に輝く星々を見上げ、宇宙の広大さに思いを馳せる人は少なくないでしょう。遠い宇宙に、私たち人類と同じように、あるいは全く異なる進化を遂げた知的生命体は存在するのでしょうか?もし、彼らと交信ができるとしたら、どんな方法が使われるのでしょうか?

素数と2進法:宇宙共通の言語?

興味深いことに、天文学者でありSF作家でもあるカール・セーガンは、その答えを「数学」に見出しました。彼の小説『コンタクト』では、地球外知的生命体からの最初のメッセージは、素数を2進法で並べた信号として描かれています。

素数は、1とその数自身以外では割り切れない自然数であり、宇宙のどこでも変わらない普遍的な存在です。セーガンは、宇宙人もまた、私たちと同じように数学を理解し、素数や2進法という共通言語を用いて交信してくるという仮説を立てたのです。

数学は宇宙を記述する言語

セーガンが提唱した地球外知的生命体探査(SETI)では、現在も電波信号の中に数学的な規則性がないかを探し続けています。これは、数学が宇宙を記述する言語であるという考えに基づいています。

実際、一般相対性理論によって予言されていた「膨張宇宙」「ブラックホール」「重力波」といった現象は、後に実際に観測によって確認されました。これは、数学を用いることで、宇宙の法則や現象を理解し、さらには未来を予測することさえ可能であることを示唆しています。

数学は発見か、発明か?

しかし、「数学とは何か?」という根源的な問いに対する明確な答えはまだ出ていません。数学者は、大きく分けて「数学的実在論」と「数学的経験論」の二つの立場に分かれています。

「数学的実在論」は、数学的真理は宇宙にあらかじめ存在しており、数学者はそれを発見するだけだと考えます。一方、「数学的経験論」は、数学は人間が作り出した体系であり、宇宙を記述するための単なる道具に過ぎないと考えます。

宇宙は数式でできている?

本書『宇宙は数式でできている』(朝日新書)の著者である須藤靖氏は、「数学的実在論」をさらに推し進め、「数学的な論理体系と実在する宇宙は同じものである」という大胆な仮説を提示しています。

須藤氏は、地球外知的生命体もまた、私たちと同じように微分積分や一般相対性理論といった数学や物理学を理解しているはずだと主張します。もしそうであれば、数学はまさに宇宙共通の言語と言えるのかもしれません。

まとめ

宇宙の神秘を解き明かす鍵は、もしかしたら私たちの身近にある「数学」の中に隠されているのかもしれません。遠い未来、数学を通じて地球外知的生命体と交信できる日が来ることを期待せずにはいられません。