「トイレに流せる」と謳われ、利便性から多くの家庭で愛用されているトイレクリーナー。しかし、一部の関係者がX(旧Twitter)上で、これらの製品を流すことによる便器詰まりのリスクを指摘し、波紋を広げています。特に、節水型トイレでの使用においては、その危険性が増すとの声も上がっており、消費者の間で懸念が高まっています。
「流せる」表示の裏側:消費者庁の過去調査と警告
シートタイプのトイレクリーナーは、掃除後にそのまま便器に流せる手軽さから人気を集めています。しかし、2025年8月11日、一部の設備関係者がX上で、トイレットペーパーとは異なり、これらのクリーナーが詰まりやすいと警告。実際に詰まりの報告が多数寄せられていると言います。
この問題は、過去にも消費者庁によって取り上げられています。同庁は2012年12月21日、市販のトイレクリーナー十数点について、トイレットペーパーのJIS規格「ほぐれやすさ」の品質試験を実施。その結果、トイレットペーパーと同様に水中でほぐれたのはわずか2点に過ぎなかったことが判明しました。この調査を受け、消費者庁は「ほぐれやすさの試験をクリアしないトイレクリーナーを『トイレに流せる』『水にほぐれる』と表示するのは景品表示法における優良誤認にあたる」と警告。改善が見られない場合は措置命令を出す可能性もあると説明していました。
流せるトイレクリーナーと便器の詰まりを示すイメージ。特に節水型トイレでの注意を促す。
業界の自主基準と現状
消費者庁の警告を受け、業界団体である日本衛生材料工業連合会は、2014年に自主基準を設けました。この基準では、「流せるトイレクリーナー」と表示する製品に対し、トイレットペーパーのJIS品質基準に適合することなどを求めています。
この自主基準により、一定の品質は保たれることにはなりましたが、それでも「流せる」という表示を鵜呑みにせず、使用する際には注意が必要です。特に、水量が少ない節水型トイレを使用している場合や、一度に複数枚流すような使用方法は、詰まりのリスクを高める可能性があります。消費者は、製品の表示内容だけでなく、自身のトイレ環境や使用状況を考慮し、賢明な判断を下すことが求められます。
まとめ
「トイレに流せる」と謳われるトイレクリーナーは便利である一方で、便器詰まりのリスクを内包していることが指摘されています。過去の消費者庁の調査や、現在の業界自主基準を踏まえても、その使用には慎重さが求められます。特に節水型トイレを利用している家庭では、トイレットペーパー以外のものを流す際には十分な注意が必要です。トラブルを避けるためにも、利用方法を再確認し、製品の特性を理解した上で使用することが重要です。
参考文献:
- J-CASTニュース (2025年8月13日). トイレクリーナーは流してはダメ? 一部の関係者がXで指摘「詰まる危険」…消費者庁は過去に警告、業界自主基準も. https://news.yahoo.co.jp/articles/3f496c13865da9a652ca8080257d51d4c3ff0c9a