西田敏行さん死去、死因の虚血性心疾患とは?糖尿病との関連性と予防法を医師が解説

国民的俳優・西田敏行さんの訃報に、日本中が悲しみに包まれています。事務所発表によると、死因は虚血性心疾患とのことです。2003年には心筋梗塞で緊急入院した経験もあり、その後も度重なる怪我や体調不良に見舞われていた西田さん。今回は、虚血性心疾患と糖尿病の関係性、そして私たちが取るべき予防策について、五良会クリニック白金高輪理事長・五藤良将医師に詳しく解説していただきます。

虚血性心疾患とは?糖尿病との関連性は?

虚血性心疾患とは、心臓に栄養や酸素を送る冠動脈が狭窄したり詰まったりすることで、心筋に十分な血液が供給されなくなる病気です。代表的なものに心筋梗塞などがあり、命に関わる危険性も高い病気です。

西田さんも患っていた糖尿病は、この虚血性心疾患のリスクを高める要因の一つとされています。糖尿病になると、血液中の糖が高い状態が続くため、血管が傷つきやすく、動脈硬化が進行しやすくなります。動脈硬化は、冠動脈の狭窄や閉塞を引き起こす原因となるため、糖尿病患者は虚血性心疾患のリスクが高くなるのです。

糖尿病患者に多い“隠れ心筋梗塞”とは?

さらに、糖尿病患者は“隠れ心筋梗塞”のリスクも高いと言われています。一般的に心筋梗塞は、胸の強い痛みを伴うことが多いですが、糖尿病患者では神経障害を併発している場合があり、痛みを感じにくいことがあります。

自覚症状が少ないまま心筋梗塞が進行してしまうため、発見が遅れ、重症化するケースも少なくありません。

筋肉痛と間違えやすい?見逃しやすい虚血性心疾患のサイン

また、心筋梗塞の痛みは、胸だけでなく、背中や肩、腕、腰などに広がる放散痛と呼ばれる症状が出ることもあります。そのため、筋肉痛や他の病気と勘違いし、放置してしまうケースもあるようです。

糖尿病患者や心疾患リスクの高い人は、少しでも体調に異変を感じたら、自己判断せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。

虚血性心疾患の予防のためにできること

虚血性心疾患は、生活習慣の改善によって予防できる可能性があります。禁煙、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、健康的なライフスタイルを心がけましょう。

また、糖尿病などの持病がある場合は、医師の指示に従って適切な治療を継続することが大切です。定期的な検査も忘れずに行い、早期発見、早期治療に努めましょう。

自分自身と大切な人の命を守るために

西田さんの訃報は、私たちに健康の大切さを改めて教えてくれました。虚血性心疾患は、決して他人事ではありません。生活習慣の見直しや、定期的な健康チェックなど、できることから始めていきましょう。