燃え殻さんエッセイ 「お前のことがムカつく」友人のメールに思うこと 「迷惑をかけたあの日のこと」と彼の記憶


■恩を返すときがやっときた

 知人のデザイナーの男性が半年前に心を病んでしまい、仕事を休職し、「もう本当に死にたい」という趣旨のメッセージを一通送ってきた。「とにかく少し休んでください」と僕は返したが、そのあともメッセージは何通も送られてくる。そして内容はどんどん変化していく。次第に、「お前がうらやましい」という内容になり、一番最近届いたものでは、「お前のことがムカつく」にまで行き着いてしまった。

 数ヶ月ぶりに外に出たという彼は、無精髭ではあったが、身なりはきちんとしていて、顔色も悪くない。一緒に働いていたときと、さほど変わらない印象だった。僕に送ったメッセージについて、そのときも彼は一生懸命に謝っていたが、正直僕は気にしていなかった。そんなメッセージの一つや二つでは到底埋まらないほどの迷惑を、僕は彼にかけたことが過去にあったからだ。



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