自民党と日本維新の会は12月5日、衆議院議員の定数削減を目指す法案を共同で国会に提出しました。この法案は、現在の衆議院議員定数465議席を1割削減し、420議席を超えない範囲とすることを目標としています。特に注目されているのは、与野党間の協議が1年以内にまとまらない場合、小選挙区と比例代表合わせて45議席が自動的に削減されるという異例の条項です。この動きに対し、野党だけでなく自民党内からも反発の声が上がっており、今後の法案成立の行方に不透明感が漂っています。
異例の「自動確定」条項とは
この共同提出された法案の主要なポイントは以下の通りです。まず、衆議院議員の定数を現在の465から420を超えない範囲で、1割の削減を目標とします。次に、衆議院議長のもとに全会派が参加する協議会を設置し、具体的な定数削減案の検討を進めます。この与野党協議が1年以内に合意に至った場合、区割り改定案の検討に移ります。
しかし、最も異例なのは、この与野党協議が1年以内にまとまらない場合に発動される「自動確定」条項です。合意が成立しない場合、公職選挙法が改正され、小選挙区で25議席、比例代表で20議席の計45議席が自動的に削減されることになります。政治部デスクによると、この「協議がまとまらなければ原案のままで決定する」という仕組みは前例がなく、維新が自民党に対して連立離脱の可能性を示唆することで盛り込ませたものとされています。合意形成に向けた議論の余地を狭め、自動的に削減を確定させるという強硬な姿勢が伺えます。
高市早苗氏と日本維新の会の吉村洋文代表が国会で意見交換
維新の「連立離脱」カードが背景に
この「自動削減条項」が盛り込まれた背景には、自民党と維新の会が連立政権合意書に基づき、衆院議員定数の1割削減を基本としていた経緯があります。しかし、自民党内では定数削減に心から賛成する議員が少ないのが実情であり、議論の停滞が危惧されていました。
日本維新の会の吉村洋文代表は、自民党の「放置プレー」を回避するため、「自動削減条項」の盛り込みを強く指示したと報じられています。連立離脱という強硬なカードを明確に掲げた維新の姿勢に、自民党側が譲歩した形です。これにより、定数削減という公約実現に向けた維新の強い意志が示されました。
法案成立への課題と不透明感
この法案に対し、立憲民主党、国民民主党、公明党などの野党は、定数削減自体には一定の理解を示しつつも、与党案の「進め方が雑」「熟慮の否定」「合理的な理由が必要」といった点に慎重な姿勢を示しています。特に、議論の機会を奪うかのような「自動確定」条項には、批判の声が上がっています。
政治情勢を見ると、衆議院では自民党と維新の会が過半数に達していますが、例えばインフルエンザなどによる議員の欠席が1人でも出れば、採決が危うくなる可能性も指摘されています。一方、参議院では両党は過半数に6議席足りておらず、多数派工作を進めているものの、予断を許さない状況です。これにより、法案がスムーズに成立するかどうかは依然として不透明な状況が続いています。
この共同提出された衆議院議員定数削減法案は、その「自動確定」条項の異例さと、維新の会による連立離脱カードの使用という背景から、今後の国会審議で大きな焦点となるでしょう。野党の反発、自民党内の温度差、そして参議院での多数派工作の行方が、法案の成立にどう影響するかが注目されます。





