10月27日の投開票日が目前に迫った衆院選。自民党は裏金問題の逆風のなかでかつてないほどの苦戦を強いられており、自民党幹部は接戦区のテコ入れを図る。だが、最終盤になって非公認となった裏金議員の政党支部にも自民党が2000万円を支給していたことが発覚。逆風はさらに強まっており、党内からは「与党過半数割れは確実ではないか」という嘆きの声も漏れる。
大阪の切り崩しを図る自民、お膝元の維新は死守なるか
「まだ票が足りません。どうぞ皆さま、お声をかけてください。皆さまの力を貸しください」
10月24日、石破茂首相は大阪府吹田市の阪急南千里駅前で、自民候補の渡嘉敷奈緒美氏の応援演説で声を振り絞った。
石破首相はラストサンデーである10月20日から21日にかけても大阪府内の遊説に奔走しており、関西地方にかなり力を入れているのが分かる。
それもそのはず、大阪は自民党が選挙中盤で設定した「重点区」に全選挙区が選定されているのだ。
永田町関係者は語る。
「10月21日の夜、自民党本部に石破茂首相や菅義偉副総裁、森山裕幹事長や小泉進次郎選対委員長が集まって、選挙戦後半に向けての作戦会議が開かれた。
このときに東京都内の接戦区のほか、北は北海道4区、南は福岡2区まで約40の選挙区が重点区に選ばれたが、それとは別に大阪はすべての選挙区を重点区として設定している。
大阪万博や、斎藤元彦前兵庫県知事の問題で日本維新の会の関西人気に陰りが見え始めており、自民がここぞとばかりに攻勢をかけているわけだ」
実際に維新は8月に実施された箕面市長選挙で初めて公認の現職首長が敗れるという事態に陥っている。
また、2021年の衆院選では維新が公明党と共闘態勢を組み、19の選挙区を両党で分け合った。しかし、その後に大阪市議会の過半数を維新が獲得したという事情もあり、今回は維新と公明もガチンコ対決を繰り広げている情勢だ。
そんな中、自民党が10月16日から20日にかけて実施した情勢調査によると、19のうち8つの選挙区で自公の候補が維新候補にリードしているという。
冒頭で取り上げた大阪7区の渡嘉敷氏も維新現職の奥下剛光氏と一進一退の攻防を繰り広げており、維新にとっては牙城である大阪を維持できるか否かの正念場になっている。