維新、衆院定数削減の進捗に苛立ち:政治資金規正法改正巡り与野党協議が焦点に

臨時国会の会期末が目前に迫る中、衆議院の定数削減と政治資金規正法改正を巡る与野党間の攻防が激しさを増している。特に日本維新の会は、定数削減に関する議論の遅れに対し強い不満を表明しており、この問題が国会終盤の最大の焦点となっている。各党の思惑が交錯する中、法案成立に向けた道のりは依然として不透明だ。

日本維新の会の藤田文武共同代表は12月10日の会見で、「国会は自分たちの身分にかかわることを、結論を出さずにずっと議論するという習性がある」と苛立ちをあらわにした。この発言は、衆議院の定数削減について与野党協議会で1年以内に結論が出ない場合、小選挙区で25議席、比例区で20議席を自動的に削減する「プログラム規定」を導入した理由を問われた際のものだ。同氏は、維新は「政策を実現することにこだわる。法案を提出するだけではパフォーマンスにすぎない」と強調し、議論の停滞に警鐘を鳴らした。

日本維新の会の吉村洋文代表と握手する自民党の高市早苗総裁日本維新の会の吉村洋文代表と握手する自民党の高市早苗総裁

政治資金規正法改正を巡る与野党の動き

17日の臨時国会会期末が迫る中、野党側は政治資金規正法の改正を先行させる姿勢を崩していない。公明党と国民民主党は10月19日、企業団体献金の受け皿を政党本部と都道府県連に限定し、上限を1億円、同一政治団体への献金上限を2000万円とする改正案を共同で提出した。これに対し、立憲民主党は修正協議を保留しつつも「おおむね賛成」との立場を示した。

当初、維新の藤田氏は「政治団体からの寄付の規制がない」ことを理由に公明・国民案に否定的であった。しかし、12月10日の会見では、同案を基に議論を進めることを容認する姿勢に転換。自民党との橋渡し役を務める維新の遠藤敬国対委員長も、同日のぶら下がり会見で「今の国会の情勢を考えても、企業団体献金(政治資金規正法改正案)を早く採決することで、次の定数削減の議論に入れる」と述べ、法改正の先行採決が定数削減議論の前提となるとの見方を示した。

自民党内の衆院定数削減への反発

維新が政治資金規正法改正案の議論容認に転じた背景には、自民党内で衆議院の定数削減に対する根強い反発がある。自民党の鈴木俊一幹事長は9日の会見で、「会期を延長することなく、会期の中で成立させる強い思いで臨んでいきたい」と述べたものの、高市早苗首相の指示を受けた萩生田光一幹事長代理が“反乱分子”の鎮圧に動くなど、党内は一枚岩ではない状況が浮き彫りになっている。

定数削減は議員自身の身分に関わる問題であり、特に現職議員からの抵抗が予想される。会期末が迫る中、この自民党内の足並みの乱れが、今後の国会運営に大きな影響を与える可能性が高い。

今後の展望

臨時国会の会期末まで残された時間はわずかであり、衆議院の定数削減と政治資金規正法改正という二つの重要課題は依然として複雑な状況にある。日本維新の会は政策実現へのこだわりを見せ、政治資金規正法改正の議論を容認することで、定数削減の議論を加速させたい狙いがある。一方、自民党内では定数削減への反発がくすぶり、与野党間の合意形成を困難にしている。今後の国会運営において、各党がどのように歩み寄り、結論を導き出すのか、その動向が注目される。