首都圏などで相次いだ「闇バイト」による強盗事件を巡り、警視庁などが5都県の11事件で逮捕された実行役らのスマートフォンを解析した結果、指示役が使っていた約30個のアカウントの識別情報が、全て異なっていたことが捜査関係者への取材でわかった。この識別情報は電話番号とひも付いているとみられ、指示役が他人名義のスマホやSIMカードを大量に用意していた可能性がある。
関連が疑われる事件は8月27日以降、東京、埼玉、神奈川、千葉、栃木、北海道の6都道県で、今月17日までに計19件発生。逮捕者は約40人に上っている。
捜査関係者によると、このうち5都県で起きた強盗や窃盗などの11事件では、秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」で、約30個のアカウントから実行役らに指示が出されていた。
警視庁などは、実行役ら数十人から押収したスマホを解析。指示役のアカウントの識別情報が判明したことから、シグナルの運営団体に情報を照会し、アプリに登録された情報から手がかりを得たい考えだ。
シグナルのアカウントの登録には、電話番号が必要で、警視庁などは、指示役が身元を特定されないよう、不正に売買されている「飛ばし携帯」と呼ばれる他人名義のスマホやSIMカードを使っていたとみている。
一方、指示役が使っていた約30個のアカウントの詳細も判明した。「夏目漱石」というアカウントは東京都練馬区(9月28日)、国分寺市(同30日)、埼玉県所沢市(10月1日)で起きた強盗事件で使われていた。
「赤西」「小山ゆたか」「ゴッサム」などのアカウントは複数の事件で登場しており、警視庁などは同一の指示役が関与しているとみて、被害品の回収役を追跡するなどして指示役の特定を急いでいる。
西日本などにも犯罪拡大の恐れ
西日本などでも、「闇バイト」による強盗事件が起きる恐れがあり、警察当局は警戒を強めている。
山口県光市では21日、住宅に強盗に入る機会をうかがったとして、茨城県の男子中学生(14)ら関東地方の少年3人が強盗予備容疑で逮捕された。