韓国で過去最多ペースの企業倒産、コロナ禍、物価高騰などが直撃

新型コロナウイルス感染拡大以降、韓国経済は物価高・高金利・高為替レート(3高現象)という三重苦に見舞われ、中小企業を中心に経営環境が悪化の一途を辿っています。その結果、2007年のリーマンショック時を超える勢いで、過去最大規模の企業倒産が相次いでいます。

倒産件数は増加の一途、コロナ禍で疲弊した企業に追い打ち

韓国裁判所の統計によると、2023年1月から9月までに受け付けられた法人破産申し立ては1444件に達し、前年同期比で19%増加しました。これは、韓国裁判所が毎年発行している「最高裁司法年鑑」に基づくと、過去最多の件数となります。

2002年には108件だった法人破産申し立て件数は、年々増加傾向にありました。リーマンショックが発生した2007年から2009年にかけては、それぞれ132件、191件、226件と増加し、2016年には740件にまで膨れ上がりました。

2017年に699件とわずかに減少したものの、その後は再び増加に転じ、新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年には1069件と初めて1000件を超えました。そして、2022年には過去最多となる1657件に達しました。

2023年は、月平均160件のペースで法人破産が申し立てられています。このペースが続けば、年末までの総破産申し立て件数は2022年をさらに上回る可能性が高いと見られています。

ゾンビ企業の破綻が顕在化、専門家は構造改革の必要性を指摘

ソウル・明洞の建物に貼られた賃貸案内文ソウル・明洞の建物に貼られた賃貸案内文

専門家の中には、今回の倒産増加は、コロナ禍で疲弊した企業に、物価高や金利上昇が追い打ちをかけたことが原因だと指摘する声もあります。

韓国経済研究所のキム・ヨンジュン研究委員は、「コロナ禍以前から経営難に苦しんでいた企業が、政府の支援策によって延命していたものの、支援打ち切りや需要減退などの影響を受けて、ついに倒産に追い込まれるケースが増えている」と分析しています。

また、「こうした『ゾンビ企業』の破綻は、韓国経済の構造的な問題を浮き彫りにしている」と指摘し、「今後は、新規事業への投資促進や労働市場の柔軟化など、構造改革を断行する必要がある」と提言しています。