正規雇用が減少する時代は終わり?
長らく日本の社会問題として取り上げられてきた非正規雇用問題。かつては、正規の職に就けず、やむを得ず非正規雇用という働き方を選ばざるを得ない人々が大勢いました。しかし、リクルートワークス研究所の坂本貴志氏によれば、ここ10年の傾向として、非正規雇用で働くことを望まない人の数が減少し、逆に、自身の意思で短時間労働を希望する人が増えているという現状があります。
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データが示す雇用形態の変遷
総務省「労働力調査」によると、1997年に3,812万人だった正規雇用者数は、2014年には3,288万人まで減少しました。しかし、その後は増加に転じ、2023年には3,609万人まで回復しています。
一方、非正規雇用者数は2019年に過去最高の2,173万人を記録した後、2023年には2,112万人と微減しています。これらのデータから、正規雇用が減少し続ける時代は終わり、非正規雇用比率も減少傾向にあることが分かります。
非正規雇用を選ぶ理由は?
非正規雇用という働き方を選択する理由は、時代とともに変化しています。総務省「労働力調査」では、非正規雇用者に対して、その理由を尋ねており、ここ10年間でその構成比が大きく変化していることが分かります。
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女性や高齢者の社会進出
近年、女性の社会進出や高齢者の就労意欲の高まりなどにより、短時間労働を希望する人が増えていることが、非正規雇用の増加の一因として挙げられます。ライフスタイルや価値観の多様化に伴い、柔軟な働き方が求められていると言えるでしょう。
働き方の多様化とこれからの雇用形態
非正規雇用問題を考える上で重要なのは、正規・非正規といった雇用形態の枠にとらわれず、個々の労働者が自身のライフステージやキャリアプランに合わせて、柔軟に働き方を選択できる社会を実現することです。企業は、多様な働き方に対応できるような雇用制度や労働環境の整備を進めていく必要があるでしょう。