【ウクライナ侵攻】北朝鮮兵の「脱走」阻止へ ロシアが恐れる事態と金正恩の思惑とは?

韓国の駅に映し出された北朝鮮の軍事パレード。力強い演出の一方で、その裏では厳しい現実が…

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、アメリカは北朝鮮軍がロシア国内に滞在し、ウクライナへ投入される可能性を示唆しています。しかし、専門家の中には、北朝鮮兵の「脱走」を懸念する声も上がっています。一体どういうことでしょうか?

金正恩が抱えるリスクとベールに包まれた「予防策」

国際社会から孤立を深める北朝鮮にとって、兵士の大量派遣は大きなリスクを伴います。国民を厳しく統制する金正恩総書記にとって、外部世界への接触は体制維持の脅威となりかねません。

しかし、ロシアとの連携強化は、北朝鮮にとって魅力的なメリットも秘めています。軍事技術の向上や経済支援の見返りに、兵士の派遣に応じている可能性があるのです。

戦略国際問題研究所(CSIS)の北朝鮮専門家、ジョセフ・S・ベルムデス氏は、北朝鮮の厳しい社会統制システムについて言及しています。国民は常に監視下に置かれ、その行動は「忠誠度」として評価され、社会的地位に影響を及ぼします。

北朝鮮の兵士たち北朝鮮の兵士たち

脱走を防ぐための「監視体制」とは?

北朝鮮の安全保障専門家ロバート・コリンズ氏によると、軍の幹部候補生は、厳格な身元調査を経て選抜されます。過去の家族の行動まで精査され、いわば「カースト制度」のようなものが存在すると指摘しています。

ベルムデス氏は、金正恩総書記が「政治的に信頼できる人物」だけを戦場に送るだろうと分析しています。さらに、派遣部隊には朝鮮労働党の幹部が同行し、兵士たちの行動を監視する可能性も高いと指摘します。

ロシアが恐れる「最悪のシナリオ」

北朝鮮は、家族を人質に取ることで、兵士たちの忠誠心を強要していると言われています。しかし、貧困にあえぐ北朝鮮の兵士にとって、経済的に豊かなロシアは「魅力的な脱走先」になり得ます。

ウクライナのメディアは、すでに北朝鮮兵の脱走者が発生したと報じています。もし、ロシアが期待する戦果を挙げられず、脱走者が続出すれば、ロシアにとって大きな痛手となるでしょう。

北朝鮮の動向は、ウクライナ情勢だけでなく、国際社会全体に大きな影響を与える可能性を秘めています。今後の展開から目が離せません。