【危険運転】自転車に接触事故寸前のトラック…弁護士が解説する「道交法違反」と「暴行罪」の可能性

「トラックに殺されそうになった!」―。そんな衝撃的な一言と共に、自転車とトラックの接触事故寸前の瞬間を捉えた動画がXに投稿され、大きな波紋を呼んでいます。

自転車に接触寸前…トラック運転手の行動を弁護士が徹底解説!

問題の動画が撮影されたのは、片側一車線の直線道路。左側を走行していた自転車に、後方から猛スピードで近づいてきたトラックが、幅寄せする形で追い越していきます。その際、トラックと自転車が接触したように見えるのです。

幸いにも、自転車に乗っていた投稿者に怪我はなく、ジャージが破れた程度で済んだとのこと。しかし、一歩間違えば大惨事になりかねない状況だったことは間違いありません。

一体、このような危険な運転は許されるのでしょうか?
今回は、冨本和男弁護士に、今回のケースに当てはまる可能性のある罪について解説していただきました。

トラック運転手に問われる可能性のある罪とは?

今回のケースでは、トラック運転手に対して、「道路交通法違反」と「暴行罪」が成立する可能性が考えられます。

1. 道路交通法違反

道路交通法28条4項では、車両が他の車両を追い越す際、周囲の交通状況に注意し、安全な速度と方法で進行しなければならないと定められています。

今回のケースでは、動画を見る限り、トラックは安全な速度と方法で追い越しを行なっていたとは言えません。そのため、道路交通法違反に該当する可能性が高いと言えるでしょう。

なお、道路交通法違反の罰則は、 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 と定められています(道路交通法117条の2の2第1項8号ホ)。

2. 暴行罪

刑法208条で定められている暴行罪は、人の身体に対する有形力の行使を指します。

今回のケースでは、トラックが自転車に接触し、ジャージが破損しています。これは、人の着衣に触れるほどの幅寄せであり、「暴行」とみなされる可能性があります。

暴行罪の罰則は、 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料 と定められています。

まとめ:危険運転は重大な結果を招く可能性も…

今回は大事に至りませんでしたが、一歩間違えれば命に関わる事故に繋がっていた可能性もあります。

自転車に乗る際は、車道を走行する以上、車両の一台として交通ルールを守り、安全運転を心がけることが大切です。

しかし、それと同時に、自動車やトラックを運転するドライバーの方々は、自転車に対してより一層の注意を払い、安全な運転を心がける必要があるでしょう。