選択的夫婦別姓制度の導入を求める声が高まる中、国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府が夫婦同姓を義務付ける民法規定を維持していることに対し、改めて批判的な見解を示しました。委員会は、これまでにも日本政府に対し、同姓義務規定は女性差別にあたるとして法改正を勧告してきましたが、具体的な行動が取られていない現状に強い懸念を示しています。
国連からの度重なる勧告と日本の現状
国連女性差別撤廃委員会は、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)に基づき、締約国の女性の人権状況を審査する機関です。日本は1985年にこの条約を批准しており、委員会の勧告に従う義務を負っています。
委員会は過去にも複数回、日本政府に対し夫婦同姓義務規定の撤廃を勧告してきました。2016年の勧告では、同姓義務が女性のアイデンティティや社会的地位に悪影響を及ぼす可能性を指摘し、選択的夫婦別姓制度の導入を強く求めています。しかし、日本政府は「国民の間に様々な意見がある」として、法改正に踏み切っていません。
夫婦別姓に関する国会審議の様子
夫婦同姓義務規定の問題点
夫婦同姓を義務付ける民法規定は、主に以下の点で問題視されています。
個人のアイデンティティの尊重
夫婦同姓は、結婚によって一方の配偶者が姓を変更することを強制するものであり、個人のアイデンティティの尊重という観点から問題があります。特に、女性が姓を変更するケースが圧倒的に多く、キャリアの中断や社会的な不利益を被る可能性も指摘されています。
社会の変化への対応
現代社会では、女性の社会進出が進み、結婚後も旧姓を使い続けることを希望する人が増えています。夫婦同姓義務規定は、このような社会の変化に対応しておらず、多様なライフスタイルを認めないものとなっています。
国際的な人権基準との整合性
多くの先進国では、選択的夫婦別姓制度が導入されており、個人の選択の自由が尊重されています。日本における夫婦同姓義務規定は、国際的な人権基準との整合性という点でも疑問視されています。
選択的夫婦別姓を求めるデモの様子
今後の展望
著名な家族法学者である山田花子教授(仮名)は、「国連委員会の勧告は、日本政府にとって重い意味を持つはずです。一刻も早く国民の声に耳を傾け、選択的夫婦別姓制度を実現すべきです」と述べています。
国連委員会の度重なる勧告を踏まえ、日本政府が今後どのような対応を取るのか、注目が集まっています。