国連の女性差別撤廃委員会が、日本政府に対し、選択的夫婦別姓を可能にするよう民法改正を勧告しました。結婚後も旧姓を保持できるよう法改正を求めるこの勧告は、日本のジェンダー平等に向けた取り組みへの一環として出されたものです。
国連勧告の背景と内容
2月29日、国連の女性差別撤廃委員会は、日本のジェンダー平等に関する取り組みについて最終見解を発表しました。この見解の中で、夫婦同姓を義務づける民法の改正を求め、「女性が結婚後も旧姓を保持できるように法改正すべき」と明記しています。
委員会は2月17日、8年ぶりに日本政府代表団への対面審査を実施。審査の過程で、委員の一人は、姓を変えるのが妻の方が多い現状について「社会的な圧力によるもので、負の影響が出ている」と指摘しました。
今回の勧告は4度目となり、委員会は「これまで対処されてこなかったこと」への懸念を示し、2年以内に措置を講じるよう日本政府に求めています。
国連本部
市民団体と日本政府の反応
選択的夫婦別姓導入を目指す市民団体「あすには」の井田奈穂代表理事は、この勧告を「待ったなし」のサインだと捉え、早期実現を強く希望しています。「日本政府が旧姓の通称使用拡大に取り組んできたという答弁を受けても、なお何もしてこなかったと認定されている」と述べ、勧告の重みを強調しました。
一方、林芳正官房長官は、「委員会の最終見解の内容を十分検討したうえで、国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、適切に対応して参りたい」と述べ、慎重な姿勢を示しました。
皇室典範への勧告と政府の抗議
委員会は、日本の皇室典範についても「皇位継承における男女平等を保証するよう改正すべき」と勧告しています。これに対し、林官房長官は「強く抗議するとともに、削除の申し入れを行った」と発表しました。
林芳正官房長官
選択的夫婦別姓をめぐる今後の展望
今回の国連勧告は、選択的夫婦別姓導入を求める声に新たな力を与えるものとなるでしょう。今後、日本政府がどのように対応していくのか、国民的な議論の進展が期待されます。 結婚や姓に関する多様な価値観を尊重し、個人の選択の自由を保障する社会の実現に向けて、更なる検討が求められています。