ウクライナ紛争で活躍する米軍の伝説的コンビ:エイブラムス戦車とブラッドレー装甲車

ウクライナ紛争の最前線で、冷戦時代にソ連に対抗するために開発された米軍のM1エイブラムス戦車とM2ブラッドレー装甲車が、再びその威力を発揮している。数十年の時を経て、今まさにロシア軍を相手に激しい戦闘を繰り広げているのだ。

冷戦時代の兵器が現代戦で活躍

ウクライナ国防省が公開した動画には、クルスク州スジャンスキー地区でロシア軍陣地を攻撃するエイブラムス戦車とブラッドレー装甲車の勇ましい姿が捉えられている。ドローンや車両に搭載されたカメラからの映像は、戦線沿いを疾走し砲弾を発射する様子を鮮明に映し出しており、その迫力に圧倒される。

ウクライナで活躍するM1A2エイブラムス戦車ウクライナで活躍するM1A2エイブラムス戦車

これらの兵器は、1980年代に冷戦の緊張が高まる中で誕生した。エイブラムス戦車は1981年から、ブラッドレー装甲車は1983年から米陸軍に配備が開始された。湾岸戦争では、イラク軍のソ連製兵器に対して圧倒的な優位性を示し、その戦闘能力の高さを世界に知らしめた。

エイブラムス戦車とブラッドレー装甲車の性能

エイブラムス戦車は、ジェネラル・ダイナミクス陸上事業部(旧クライスラー防衛事業部)が開発した第3世代主力戦車(MBT)。劣化ウラン弾を装備し、対戦車戦闘や戦線突破を得意とする。特に開けた地形での運用に適していると言われている。

ブラッドレー装甲車は、戦車よりも軽量で機動性に優れた無限軌道型の歩兵戦闘車(IFV)。兵員輸送や火力支援を担い、エイブラムス戦車と連携して戦闘を行う。湾岸戦争では、エイブラムス戦車よりも多くの戦果を挙げたとの評価もある。

軍事アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「エイブラムスとブラッドレーのコンビは、攻守のバランスが非常に優れている。エイブラムスの火力と装甲、ブラッドレーの機動力と輸送能力が互いに補完し合い、戦場で大きなシナジー効果を生み出す」と語る。

ドローン攻撃への脆弱性

しかし、現代戦においては、ドローン攻撃という新たな脅威に直面している。戦車は上面や後方の防御が比較的弱いため、空中からの攻撃に脆弱だ。偵察ドローンによって位置を特定され、攻撃目標になりやすいという弱点も抱えている。実際に、ウクライナ軍のエイブラムス戦車もロシア軍のドローン攻撃によって損害を受けたという報告がある。

エイブラムス戦車とブラッドレー装甲車の連携エイブラムス戦車とブラッドレー装甲車の連携

ウクライナへの軍事支援と今後の展望

米国は、ウクライナに対してM2A2ブラッドレー装甲車300両、M1A1エイブラムス戦車31両を供与している。これらの兵器がウクライナ軍の戦闘能力向上に大きく貢献していることは間違いない。しかし、ドローン攻撃への対策など、更なる課題も残されている。今後のウクライナ紛争の行方、そして米国の軍事支援の動向に注目が集まる。