「親ガチャ」ならぬ「苗字ガチャ」?銀シャリ鰻和弘が語る珍名秘話

人生において家庭環境を選べない「親ガチャ」という言葉があるように、生まれつき決まっているものの一つに「苗字」があります。結婚や養子縁組で変わる可能性はあるものの、多くの場合、長く付き合うことになるものです。筆者も少々珍しい苗字のため、電話で伝える際に苦労することも少なくありません。それゆえ、さらに珍しい苗字を持つ人々がどのような人生を送ってきたのか、つい気になってしまいます。

漫才コンビ・銀シャリの鰻和弘(うなぎ かずひろ)さんもまた、非常に珍しい苗字の持ち主です。初めて聞く人は、まるで芸名だと勘違いしてしまうほどかもしれません。今年のM-1グランプリ決勝が迫る中、残念ながらこの記事では漫才の話には触れません。ただただ「苗字」という一点に焦点を当てた、鰻さんへのインタビューをお届けします。

小学生時代の苦い思い出:「うなぎ」の苗字からかい

鰻さんは、自身の苗字について現在では「好きになりましたね。特に芸人になってからは、覚えてもらいやすかったり、ネタにもなるので」と語っています。しかし、以前からそう思っていたわけではないようです。

小学生の頃は、苗字が原因でからかわれることが頻繁にあったといいます。わざと違う魚の名前で「おい、穴子!」などと呼ばれたり、他にも「鮪」や「鰯」といった魚へんの付く名前で呼ばれると、反射的に振り返ってしまう状況だったそうです。さらに、「(うなぎだから)ヌルヌルしてる」と言われ、体を触られるような嫌な経験もあったと明かしました。

銀シャリの鰻和弘さん。珍しい苗字について語る。銀シャリの鰻和弘さん。珍しい苗字について語る。

家族も巻き込んだ珍名騒動:週末は電話線を抜いて生活

珍しい苗字がもたらす苦労は、鰻さん自身だけにとどまりませんでした。ご家族もまた、様々な不便を経験されたといいます。

昔、自宅の電話番号が掲載されていた「ハローページ」には、一般家庭とお店の電話番号が混在していました。そのため、鰻さんの家を鰻屋だと勘違いし、「配達お願いします」という電話をかけてくる人が後を絶たなかったそうです。週末になると、当たり前のように10件近くもこうした電話がかかってくるため、お母様はいつも怒っていたといいます。生活に支障をきたすレベルだったそうで、中にはいたずら電話も含まれていたため、最終的には土日になると電話線を抜いて生活するという対策を取っていたほどでした。

電話で苗字を伝えるのに苦労する様子をイメージした写真。電話で苗字を伝えるのに苦労する様子をイメージした写真。

珍しい苗字「鰻」は、幼少期にはからかいの対象となり、家族の生活にまで影響を及ぼすほど大変なものでした。しかし、芸人として活動する今となっては、人々に覚えてもらいやすく、自身のネタにもなるというポジティブな側面も持っています。この「珍しい苗字」が、鰻和弘さんのユニークなキャラクターを形作る一因となっていることは間違いないでしょう。