中国元高官、巨額収賄で執行猶予付き死刑判決:腐敗撲滅に向けた中国政府の取り組み

中国で汚職撲滅運動が激化しています。元貴州省党書記の孫志剛被告(70)が巨額の収賄容疑で執行猶予付きの死刑判決を受けました。この記事では、事件の詳細と中国政府の反腐敗への取り組みについて解説します。

元貴州省党書記、175億円収賄で有罪判決

天津市第2中級人民裁判所は、孫志剛被告に対し、約8億1300万元(約175億円)の収賄と職権乱用の罪で執行猶予2年の死刑判決を言い渡しました。中国中央テレビが報じたところによると、孫被告は容疑を認めています。

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中国の死刑猶予制度は、猶予期間中の被告の態度を考慮し、無期懲役に減刑される可能性がある一方、その後更なる減刑や仮釈放は認められないという厳しいものです。裁判所は、孫被告の収賄額の大きさと社会への影響の重大さを考慮し、重刑は避けられないと判断しました。一方で、自白や賄賂の返還といった情状酌量の余地も認めています。

党中央規律検査委員会による調査と高位官僚の摘発

孫被告は、湖南省や安徽省で要職を歴任し、2017年7月に貴州省党書記に就任しました。党中央規律検査委員会は、2023年8月に孫被告の規律・法律違反容疑を発表、調査を進めていました。

この事件以外にも、中国人民銀行の元副銀行長の范一飛被告も3億8600万元の収賄容疑で執行猶予付きの死刑判決を受けています。中国では今年に入り、高位官僚が腐敗容疑で次々と摘発されており、政府の反腐敗運動の高まりが鮮明になっています。

習近平国家主席の腐敗撲滅宣言

習近平国家主席は、3月末の共産党指導部会議で、「腐敗が繁殖する土壌と環境を断固として除去しなければならない」と述べ、高強度の反腐敗監査作業の継続を表明しました。今回の孫被告への判決は、この発言を裏付けるものと言えるでしょう。

中国の腐敗撲滅に向けた今後の展望

中国政府は、汚職撲滅を国家の重要課題と位置づけ、厳しい姿勢で臨んでいます。 今後、更なる摘発や制度改革が行われる可能性が高く、中国社会の透明性向上と健全な発展に繋がることが期待されます。 専門家の中には、「今回の判決は、中国政府の腐敗撲滅に向けた強い決意を示すものだ」と指摘する声もあります。 例えば、中国政治に詳しい東京大学の山田教授(仮名)は、「高官への厳しい判決は、他の官僚への抑止力となるだろう」と分析しています。 中国の反腐敗運動の行方が注目されます。