米経済の強さ背景に? ヤルデニ氏、S&P500「メルトアップ」相場入りを予想、2030年末までに60%上昇か

2025年前半、世界の株式市場、特に米国市場は乱高下を見せ、多くの悲観論が広がりました。しかし、長年の市場予測経験を持つヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ氏は、こうした混乱を乗り越え、株式市場が再び「メルトアップ(Melt-up)」の局面に入ったとの見解を示しています。彼の分析は、特に米国の主要株価指数であるS&P500の今後の軌道に注目しており、強気な予測を展開しています。

ヤルデニ氏の「メルトアップ」論とは

ヤルデニ氏が提唱する「メルトアップ」とは、市場が熱狂的な投資によって急激に上昇する局面を指します。彼は、現在の株式市場が2024年から1990年代後半のような強気相場に突入しており、これは1999年から2000年初頭のITバブル崩壊直前のような、華々しいが持続可能性に疑問符がつく上昇相場である可能性が高いと見ています。この「メルトアップ」論は、市場の楽観主義が過熱し、資産価格がファンダメンタルズから乖離して上昇する状況を警告するもので、投資家は注意深く相場を判断する必要があることを示唆しています。

ヤルデニ・リサーチ代表 エド・ヤルデニ氏の肖像写真 S&P500株価予想に関連ヤルデニ・リサーチ代表 エド・ヤルデニ氏の肖像写真 S&P500株価予想に関連

S&P500の具体的な上昇予測

ヤルデニ氏は、現在の市場状況が「投機バブル(過熱した投資熱)」のリスクを示唆していると指摘しています。実際、S&P500指数は2025年6月27日に新たな最高値を記録しており、これが彼の見解を裏付ける形となっています。彼はS&P500が2025年末までに6500ポイントに達すると予想。これは6月30日の水準から約5%の上昇に相当します。さらに、彼のメルトアップ論に基づけば、この主要指数は2029年末までに1万ポイントまで上昇し、約60%の値上がりを示す可能性があると予測しています。

株価上昇の背景にある要因

ヤルデニ氏は、株価上昇の主な理由として、「米国経済の強さが続いていること」を挙げています。CNNBCのインタビュー(6月27日)で彼は、「ここまでのところ、今の株価の上昇は特に異常なものではなく、普通の強気相場として進んでおり、1960年代半ば以降の代表的な好調な強気相場と同じくらいの成果を出す可能性がある」と述べています。また、近年見られた一部の経済指標(例えば小売売上高)の低調さは、主に「関税などの一時的な不確実性によるもの」であり、米国経済全体の基調的な強さは維持されているとの見方を示しています。関税を巡る不安が和らいできたことも、市場の追い風となっていると考えられます。米国経済の動向は世界の市場に大きな影響を与えるため、ヤルデニ氏の分析は日本の投資家や経済動向に関心のある読者にとっても重要な情報となります。

ヤルデニ氏の予測は、米国経済の継続的な強さを背景に、S&P500が今後数年間で大幅に上昇する可能性を示唆しています。ただし、その上昇が「メルトアップ」という表現で示されるように、投機的な側面を持つ可能性があることにも言及しており、市場参加者は引き続き注意深く動向を注視する必要があります。

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