路上で若い女性を狙った連続強盗致傷・強制わいせつ事件。横浜地裁は2024年10月31日、被告人男性に懲役9年の判決を言い渡しました。過去にも同様の事件で服役していた男の、常習性と悪質性が改めて浮き彫りになったこの事件。一体どのような犯行が行われたのか、詳しく見ていきましょう。
常習化する犯行、そのターゲットは?
被告人男性は、2022年6月から10月にかけて、横浜市や川崎市で20代の女性を狙い、4件もの犯行を重ねていました。深夜、一人で歩いたり、ベンチに座ったりしている女性に目をつけ、卑劣な犯行に及んでいたのです。 事件当時35歳だった男は、どこにでもいるような中年男性の風貌で、逮捕直後には笑みを浮かべる余裕すら見せていたといいます。
alt 横浜地裁の法廷
被害女性を襲った悪質な手口の数々
犯行の手口は様々で、被害者のスカートをめくり上げて下着を携帯電話で動画撮影しようとしたり、胸をつかんで押し倒し、殴るなどの暴行を加えたりしていました。ある事件では、被害女性に「自分でパンツを脱いで」と強要し、下着を奪うという強盗行為まで行っていました。弁護側は「女性自らパンツを渡した」と主張しましたが、判決では「悪質な態様」と一蹴されました。
タトゥー、サングラス…犯行を裏付ける証拠
男の左腕にはタトゥーがあり、被害女性の一人がそのタトゥーを見ていないと証言したことから、犯行を否認していました。しかし、犯行中にサングラスを着用していた男が、揉み合いの際にレンズを落としており、そのレンズから男のDNAが検出されたことが決め手となりました。 裁判では、被害女性が犯行の恐怖でタトゥーに気づかなかった可能性も指摘され、男の主張は退けられました。
犯罪心理学者・田中教授(仮名)の見解
犯罪心理学に精通する田中教授(仮名)は、この事件について次のように分析しています。「過去に同様の罪で服役していたにも関わらず、短期間で再犯に及んでいることから、常習性が高いと考えられます。また、犯行の手口がエスカレートしている点も懸念されます。」
懲役9年の判決、そして今後の課題
足立勉裁判官は、わずか1年あまりで4件もの犯行に及んだこと、被害者への謝罪や賠償がないこと、更生への取り組みが不十分であることなどを指摘し、懲役9年の判決を言い渡しました。
alt 裁判所のイメージ
今回の判決は、性犯罪の厳罰化の流れを改めて示すものとなりました。しかし、再犯防止のためには、服役中の更生プログラムの充実や、出所後の社会復帰支援など、更なる対策が必要と言えるでしょう。女性が安心して暮らせる社会の実現に向けて、私たち一人ひとりがこの問題について真剣に考える必要があるのではないでしょうか。