「レシピ通りに作ったはずなのに、なぜか期待通りのおいしさにならない…」。そんな経験は、料理をする人なら一度は抱える悩みかもしれません。実は、プロの料理家が「感覚でわかる」と省略しがちな、しかし味を大きく左右する重要なポイントが存在します。料理研究家・管理栄養士の藤井恵氏の著書『レシピ未満のおいしい食べ方』は、これまでのレシピ本にはなかった「料理を本当においしくするコツ」を、非常にわかりやすく解説しています。今回は、夏の定番であるそうめんを、より手軽に、そして驚くほどおいしくするための秘訣をご紹介します。
美味しいそうめん(素麺)の盛り付け。簡単なコツで劇的に美味しくなるそうめんレシピの紹介。
そうめんの常識を覆す!ゆでた後の「水洗い不要論」とその理由
一般的に、そうめんはゆでた後に冷たい流水で洗い、麺を締めるのが基本とされています。しかし、藤井氏によると、この水洗いは必ずしも必須ではないといいます。その理由は、麺の表面に残るデンプンや油、余分な塩分を洗い流すためですが、十分にたっぷりの熱湯でゆでれば、これらの成分はその過程で自然と落ちるからです。特に温かいそうめん、すなわち「にゅうめん」を作る際には、冷水で締めずにそのまま温かい汁に加える方が、手間が省けるだけでなく、だしが麺によく絡み、格段においしく仕上がります。
新発見!「温かいそうめん(にゅうめん)」の多様な楽しみ方
そうめんは暑い季節に冷やして食べるのが主流ですが、藤井氏は一年を通じて温かいにゅうめんも好んで食されており、特に豆乳をベースにした汁がお気に入りだそうです。
意外な組み合わせが絶品!「豆乳キムチにゅうめん」の作り方
沸騰直前まで温めた豆乳を器に注ぎ、たっぷりの熱湯でゆでたそうめんを水で締めずにそのまま加えます。さらに、適当な大きさにカットした白菜キムチと、斜め薄切りにした小ねぎをトッピングすれば完成です。この組み合わせが、驚くほどまろやかで奥深い味わいを生み出します。
朝食にも最適!お茶漬け感覚で楽しむ「熱々煎茶にゅうめん」
にゅうめんの汁は、だし汁に限定されるものではありません。温かい煎茶をそうめんにかけるという、お茶漬け風の食べ方もまた格別です。あっさりとしていながらも、お茶の香りが食欲をそそり、忙しい朝食などにもぴったりです。
レシピを超えて、自分だけの「美味しい食べ方」を見つける極意
「レシピ通りに作ったのにうまくいかない」と感じる人は、プロにとっては当たり前すぎる簡単な調理法が、実は自分には難しかったということに気づいていないのかもしれません。「これはこう作るもの」と固定観念に囚われず、「もっと簡単に、おいしくできる方法はないか?」と、自分に合った作り方を探求してみるのが良いでしょう。藤井恵氏のレシピが「どんな人でも上手に作れる」と評されるのは、単においしいだけでなく、簡単で、失敗しにくく、時短になり、しかも必要な栄養素を効率的に摂取できる料理であることを常に追求しているからです。レシピと呼ぶには簡単すぎるようなちょっとしたコツを知るだけで、あなたの料理の腕前は劇的に向上するはずです。