死刑囚の表現展:植松聖死刑囚ら15名の作品展示、その心に迫る

死刑囚たちの内面世界を垣間見る機会となる「死刑囚表現展 2024」が、11月2日から4日まで東京都中央区の松本治一郎記念会館で開催されます。2016年に相模原市の「津久井やまゆり園」で起きた凄惨な事件の加害者である植松聖死刑囚を含む15名の死刑確定者の作品、計426点が展示されます。本記事では、展示作品の内容や背景、そして死刑囚たちの表現活動について深く掘り下げていきます。

植松聖死刑囚の作品:変わらぬ思想を色紙に

2020年から毎年出品を続けている植松死刑囚。過去の作品には、観音像風の人物画や頭蓋骨をモチーフにした絵などがありました。今年は、昨年と同様に黒い文字を書き込んだ色紙9点を出品。ただし今年は、黒文字の上に赤や青などの色が重ねられています。「大麻」「福祉制度」といったタイトルが付けられた作品では、自身の主張を展開。「大麻の薬効」「生産性がない」「優生思想」といった言葉が並び、裁判で示した主張と変わらない思想が見て取れます。

植松聖死刑囚の「大麻」と題された作品植松聖死刑囚の「大麻」と題された作品

井上孝紘・北村孝兄弟による共同制作:異なる境遇からの共鳴

2004年に福岡県大牟田市で発生した母子ら4人殺害事件の死刑囚、井上孝紘死刑囚と北村孝死刑囚。兄弟でありながら、前者は罪を認め、後者は無罪を主張し、別々の拘置所に収監されています。今回、彼らは共同制作作品「Maria」を出品。井上孝紘死刑囚が描いた線画に、北村孝死刑囚が彩色するという形で完成しました。離れた場所で服役する兄弟の共作は、異例の出来事と言えるでしょう。

井上孝紘死刑囚の線画に北村孝死刑囚が彩色した共同制作作品「Maria」井上孝紘死刑囚の線画に北村孝死刑囚が彩色した共同制作作品「Maria」

井上孝紘死刑囚は、他にも「ペーパーファッション・タトゥー」と題した作品を出品。説明書に従って体に転写できる般若などの絵柄が特徴です。昨年の来場者からのリクエストに応え、「南総里見八犬伝 八犬士 犬飼権八信道と唐獅子」なども制作しました。

井上孝紘死刑囚の「ペーパーファッション・タトゥー」作品と説明書井上孝紘死刑囚の「ペーパーファッション・タトゥー」作品と説明書井上孝紘死刑囚の「ペーパーファッション・タトゥー」の説明書井上孝紘死刑囚の「ペーパーファッション・タトゥー」の説明書

その他の死刑囚たちの作品:多様な表現と背景

西口宗宏死刑囚、金川一死刑囚、風間博子死刑囚、山田浩二死刑囚、そしてペンネーム「東西南北」を名乗る死刑囚など、様々な背景を持つ死刑囚たちの作品も展示されます。それぞれの作品からは、彼らの心情や思考、そして世界観が垣間見えます。

西口宗宏死刑囚の作品西口宗宏死刑囚の作品金川一死刑囚の「広島原爆画」金川一死刑囚の「広島原爆画」風間博子死刑囚の作品風間博子死刑囚の作品

ペンネーム「東西南北」の作品は、子犬、熊、カワセミなど、多様なモチーフが描かれています。

ペンネーム「東西南北」の様々な作品ペンネーム「東西南北」の様々な作品

山田浩二死刑囚の作品からは、彼の内省的な一面が伺えます。

山田浩二死刑囚の作品山田浩二死刑囚の作品

死刑囚表現展:その意義と問いかけ

「死刑囚表現展」は、死刑囚たちの内面世界に触れることで、犯罪の背景や更生、そして死刑制度そのものについて考える機会を提供しています。20回目の開催となる今年は、どのようなメッセージが発信されるのか、注目が集まります。