自公連立政権が過半数割れした波乱の衆院選後、政局は混迷を極めています。石破茂首相は続投の姿勢を示していますが、その立場は盤石とは言えません。次期首相候補として急浮上しているのが、9月の自民党総裁選で党員から圧倒的な支持を集めた高市早苗氏です。タカ派の姿勢と強硬な発言がネット右翼層の支持を集め、総裁選での躍進を後押ししたと見られています。今後の総裁選においても、ネット右翼がキングメーカーとなる可能性が懸念されています。
石破首相の苦境と高市氏の台頭
過半数割れにより、石破首相は国民民主党など他党との連携を模索せざるを得ない状況に追い込まれています。しかし、他党との協調は党内からの反発を招く可能性があり、石破氏の求心力低下は避けられないでしょう。政治部デスクは、「石破おろしが加速し、首相辞任に追い込まれる可能性もある」と指摘します。そうなれば、再び総裁選が行われ、高市氏がポスト石破の最有力候補として浮上するのは確実です。
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高市氏は前回の総裁選で、党員・党友票で全体の約3割に当たる20万票以上を獲得し、石破氏を僅差で上回りました。前回の総裁選からの大幅な得票増に、党内関係者やメディアも驚きを隠せません。自民党関係者は、「安倍晋三元首相の死去後、タカ派の代表格となった高市氏に支持が集まったのは当然と言える。しかし、生活の安定を求める傾向の強い党員層が、中国への強硬姿勢や靖国参拝、防衛費増額といった主張に共感したことは意外だった」と語っています。
ネット右翼の支持と都市部での躍進
総裁選告示前から、高市氏の愛国的な演説動画や中国批判のニュース映像がSNSで拡散され、「高市早苗さんを総理大臣に」というハッシュタグがトレンド入りするなど、ネット上での支持の高まりは明らかでした。他候補を批判する形で高市氏を持ち上げるYouTube動画も多数配信され、ネットユーザーの強い支持を印象付けました。作家で若者の政治動向に詳しい古谷経衡氏は、ネット右翼は首都圏の自営業者に多いと分析しています。ネット世論の後押しを受けた高市氏は、党員票の大票田である東京、千葉、埼玉、大阪などで首位を獲得し、得票を伸ばしました。
高市氏は党所属国会議員の党員獲得ランキングでも常に上位に位置しており、党員獲得に熱心な青山繁晴参院議員の影響も無視できません。青山氏はYouTubeやブログで中韓露北の脅威を訴えたり、五輪の日本代表の敗戦を誤審だと主張するなど、愛国心を刺激する情報発信を積極的に行っています。このような活動が新規党員の獲得につながり、高市氏への支持拡大に貢献したとみられます。
党員票という大義名分
高市氏は党員票でトップを獲得したという実績を武器に、党内での影響力を強めています。今後の政局においても、党員票という大義名分を盾に、自らの主張を押し通していく可能性が高いでしょう。